写真は2020年1月21日の北京市(Kevin Frayer/Getty Images)

<新型肺炎>山東省、デマ流布で4人拘束 情報統制か

中国で猛威をふるう新型コロナウイルスによる肺炎は23日早朝時点で、27省に広がり、感染者は570人超に達し、死者が17人となった。中国当局は引き続き情報の検閲を強めている。東部山東省即墨市は、このほど「デマをでっち上げた」として4人の市民を逮捕した。

同市警察当局は1月22日午後、中国版ツイッター微博で、「21日、同市北安街道に新型肺炎とみられる感染者が1人いる」とのデマをSNS「微信」に流したとして、情報を投稿した市民1人と、転載した市民3人を拘束した。

米紙ニューヨーク・タイムズ22日付は、シートン・ホール大学グローバル健康センター(Center for Global Health Studies)のホアン・イェンチョン(Yanzhong Huang)教授の話として、「中国当局は当初からウイルスがどのように他の都市に伝播したのかを詳しく説明していない。医療従業者の感染状況も明らかにしていない。これには非常に不安を感じる」とした。

重症急性呼吸器症候群(SARS)専門家のホアン教授は「残念ながら、現在も中国当局は情報公開の透明性に欠けており、政治(体制)の下で政府が有効な措置を採っていない」と述べた。

ニューヨーク・タイムズは、中国当局がSNS上に投稿されたコメントや記事を検閲しており、感染の実情を隠ぺいしようとしていると批判した。

英紙ガーディアン21日付も中国当局の隠ぺい工作を非難した。

同紙が武漢市民の黄さんの事例を挙げた。黄さんの母親が1月12日、発熱や咳の症状で病院に運ばれた。病院では医師や看護師らが全身防護服を身につけていた。しかし、病院は母親にウイルス検査を実施せず、他の患者と隔離もしなかった。14日になって病院がCT検査を行い、母親の肺に異変が見つかった。15日、母親は死亡した。病院側は死因について「深刻な肺炎」と判断し、家族に直ちに遺体を火葬するように要求した。葬儀場の職員らも防護服を着用していたという。

ガーディアン紙は、この事例から、新型肺炎の死亡者は当局の発表より多くいると指摘した。

一方、中国SNSの微信では1月21日、「『デマ』を流した8人に感謝」という投稿が注目を集めた。武漢市警察当局が1月1日「原因不明の肺炎」について「虚偽の情報」を流布したとして8人のネットユーザーを拘束した。

投稿は、新型肺炎の感染状況を最初に明らかにしたのは「政府ではない。この8人の一般市民だ」と強調した。8人が逮捕された1月1日から、中国最高指導者が新型肺炎に関して重要指示を出した1月20日までの20日間、当局は情報を隠ぺいし、「感染拡大を防ぐ機会を失った」と政府の対応を糾弾した。

記事は、中国国民に新型ウイルスについて最初に警鐘を鳴らした「8人に敬意を表します」とした。

同記事は10万回閲覧された後、削除された。

(翻訳編集・張哲)

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