金の歴史
人類は紀元前3千年代から金を使用し始めた。最古の金属貨幣は紀元前7~6世紀にリディアで作られたエレクトロン貨で、天然の金銀合金に動物や人物を刻印している。中国では商の時代(紀元前17世紀~)に装飾品として初めて金が使われ、春秋戦国時代(紀元前770年~)には貨幣や象嵌(ぞうがん)の材料として使用された。日本では749年、百済王・敬福によって奥州(現在の東北地方)で初めて砂金が発見された。
産出量と価格
2018年の金の年間産出量は全世界の合計が3260トン、中国は400トン (12%)で第1位となっている。主要各国の保有量はアメリカが8133.5トンで第1位、日本は765.2トンで第9位。日本に「地上資源」ないし「都市鉱山」として存在する金は約6800トンで、これは全世界の現有埋蔵量の約16%に及ぶ量である。金の価格は現在グラム5千円程度だ。
医療への応用
金を含む材質の鍼が治療用として製造されている。一般的なステンレス製の鍼に比べて高価なため、特殊な症状にのみ使われる。また、金は精神安定作用があるといわれ、漢方の生薬として内服薬にも利用されている。
歯科治療に用いる歯冠としても、金は古くから利用されている。現在は金銀パラジウム合金が医療保険適用となっており、日本の歯科ではこれを使用している。また、金の放射性同位体 Au―198は数種類のガンの抑制治療に用いられる。リウマチ性関節炎に有効な治療薬として、金製剤のミオクリシン、オーラノフィン等もある。なお、静脈の中に金を投与すると肝臓に選択的に分布することから、同位体を用いた診断が行われていたこともあった。
金イオンは安定した単体の金とは異なり酸化力が強く、無機金塩類は毒物及び劇物取締法等により、劇物に指定されている。
金についての話
ノーベル賞のメダルは18Kで、重さは175グラム。一方、オリンピックの金メダルは、1.34%しか金が含まれていない。世界最大の金塊は25キロで、その価値は1400万ドルと言われている。また、私達の体内にも0.2ミリグラムの黄金が存在しており、ユーカリの葉にも微量の黄金が発見されている。1トンの廃棄パソコンの中から抽出できる黄金の量は、17トンの金鉱から抽出される黄金の量に等しいという。
(翻訳編集・金子)
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