「曹大家授書図」(清・金廷標 / 國立故宮博物院・台北 / パブリックドメイン)

【絵画鑑賞】宮廷で授業をする才女・班昭

中国後漢の時、班昭(はん しょう、45年 – 117年)という一人の才女がいました。彼女は当時の文豪・班彪(はん ひょう、3年 – 54年)の娘でした。班昭は才徳兼備で、漢の和帝によって数回に渡り宮中に招かれました。皇后や妃たちは彼女を師として、経史典籍を学びました。そのため「大家(昔の用法で、中年女性に対する敬称)」と呼ばれ、またはその夫の姓である曹を冠して「曹大家(そうたいこ)」とも呼ばれました。

班昭の兄・班固(はんこ、32年-92年)は「漢書」を書いていましたが、完成しないまま亡くなりました。班昭は博学で才能もあったため、漢の和帝は班昭が続きを完成するよう要求しました。班昭は見事「漢書」を完成させました。このほか彼女は「女誡(じょかい)」という本を著し、七つの方面から女性の立身処世や品徳、礼儀を論じ、その後の数千年に渡り中国で女性教育に大きな影響を与えました。

「曹大家授書図」は班昭が宮苑小閣で授業をする様子を描いています。画家金廷標氏は清代宮廷の絵師で、院体画の手法で写実的な絵画を残しました。

▶ 続きを読む
関連記事
深夜の地下鉄で起きたささやかな善行を手がかりに、日本の「恥の文化」と心の中の「浄土」を読み解く思索録。「お天道様が見ている」という天への畏敬や儒教の教えを通じ、現代人が見失いつつある道徳の根源を問いかける
空に浮かぶ雲の移ろいや詩歌・禅の教えを通じて、天地の大きな秩序と生命のあり方を説く一文。俗世の執着や悩みを離れ、ふと空を見上げて自らの歩みを見つめ直したくなる思索的なエッセイ
都市の光が星空を覆い、人と宇宙の繋がりが薄れた現代。科学が遠大な宇宙を解き明かす一方で、失われた生命の実感と「天人合一」の古代の叡智を説き、真の夜闇の中で己の起源と精神の故郷を見つめ直す随想
1200年の歴史を誇る京都の「西陣織」をはじめ、存亡の危機に瀕する日本の伝統工芸の過酷な現実と課題を浮き彫りにした一編。市場原理と文化継承の葛藤を描きつつ、手仕事の価値を後世へ残すための責任と希望を問いかける
松の煙から始まり、幾多の試練を経て一挺の墨が生まれる製墨の工程。それは人間の修養や風骨の形成と深く重なっています。苦難を乗り越え、静けさの中で自らを磨き上げる人生の奥深さを描いた珠玉のエッセイです