米大手ホテル担当、SNSに「いいね」で解雇 中国当局の敏感問題に触れ
米ホテル大手マリオットインターナショナルの在米のSNS担当責任者が解雇された。中国当局が「敏感問題」として神経を尖らせる、チベット独立運動派のツイートを好意的に捉えるとする「いいね」を押したためとみられている。米ウォール・ストリート・ジャーナルなどが報じた。
インターネットに広がる思想や主張の情報統制を強化する中国共産党政権は、1月、ホテルや航空会社など中国市場に展開する外資系企業のウェブサイトを一時的に閉鎖した。台湾、香港、チベットを国扱いするとの企業の表記に対して憤怒し、「罰」を与えたと捉えられている。
中国当局は、米ホテル大手・マリオットインターナショナル、独メルセデス・ベンツ、米デルタ航空、欧州アパレル大手ZARAなどの有名外資企業に対して、国と地域の表記について修正と謝罪を求めた。
日本の無印良品を展開する良品計画も1月、リーフレットに記載された中国地図に「尖閣諸島が記載されていない」として、中国当局より資料の回収を命じられている。
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米ネブラスカ州にある顧客担当センターで、SNS担当責任者であるロイ・ジョーンズ氏(Roy Jones、49)は3月、同社から解雇されたことをウォール・ストリート・ジャーナルに明かした。取材に対して、会社からは中国に関する表記などいかなる指導も受けていないと述べた。
ジョーンズ氏が「いいね」を押したのは、チベット独立活動団体「フレンズ・オブ・チベット」のツイート。マリオットホテルら米国サービス大手の関係者が、ニューヨーク・マンハッタンの中心地で、チベット、台湾、香港、マカオの地域を国と並列して表記するとの顧客アンケートを受け入れるとする意思を示したもの。
Friends of Tibet congratulate global hotel chain #Marriott International for listing #Tibet as a country along with #HongKong and #Taiwan. pic.twitter.com/SXKWb20v3e
— Friends of Tibet (@friendsoftibet) January 9, 2018
中国当局は1月、国内のマリオットホテルのチェーン店舗300あまりの予約を1週間禁止するよう命じた。同ホテルにとって中国は現在、世界最大数の顧客を獲得している。
中国でビジネス展開する外資系企業に対する当局からの報復的措置は珍しくない。しかし、ジョーンズ氏のように、米国にいながら中国表記問題で引責解雇されるケースはまれだ。
マリオットホテルのアジア太平洋部門代表クレイグ・スミス(Craig Smith)氏は、英紙ジャーナルの取材に応じて声明を発表した。「今年始め、一部の従業員が、中国の主権と領圏を理解していない、あるいは十分な配慮が足りないことにより、2、3のミスを犯した。
それらの出来事と間違いは、会社の意見を示したものでは決してない」とした。
「従業員は、マリオットホテルが中国での優位性を保つための犠牲となった」と、カリフォルニア州サンタクラーラ大学のハイテク法研究所エリック・ゴールドマン(Eric Goldman)代表は、同紙の取材に応じて、苦言を呈した。
(編集・佐渡道世)