9月7日、ホワイトハウスで会見するドナルド・トランプ大統領(BRENDAN SMIALOWSKI/AFP/Getty Images)
闇ビジネス

1回わずか数ドル 安価な中国産麻薬が米国でまん延 大統領は取締強化

トランプ米大統領は先月、米国内で安価なアヘン類麻薬の使用が「前例のないほど深刻だ」として、今後予算を設けて取り締まりを強化すると宣言した。多くは中国で製造、密輸されていると米政府系メディアは伝えている。

アヘン類は代表的な麻薬類の一種で、合法な医療用鎮痛剤やヘロインはそれに属する。なかでも、薬用鎮痛剤フェンタニルとヘロインを混合したものは依存度が強いうえ、一回の使用価格は数ドルと安く、米国の貧困層までにまん延している。

米国疾病予防管理センター(CDC)のレポートによると、同国内で2014年アヘン類薬物の乱用による死者は前年比79%増の5500人にのぼった。翌15年はさらに前年比72%増だった。

欧米に毎月6000万円相当 

覚せい剤を製造・密輸 武漢の准教授に有罪

米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、アヘン類麻薬の大半は中国で密造され、メキシコや中国の麻薬組織を経由して米国に流れていると報じた。また、海外から中国の闇サイトで安易に購入できる。

米関税当局者によると、2016年に摘発された国際郵便のフェンタニルなどは400ポンド(約180キロ)。密輸方法はますます巧妙になっており、麻薬取締法対象外の「新作」が次々と開発されているため、取り締まりが難しくなっているという。

2011~16年、オバマ政権が麻薬犯罪への取り締まりと量刑を緩和したことで、麻薬乱用の拡大に繋がったとされる。トランプ大統領は「この危機的状況を食い止める」と決意をあらわにした。

中国河南省にある麻薬販売の闇サイトは、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアに供給していると謳った。2015年広東省で村ぐるみで薬物を密造する「覚せい剤村」が摘発されたが、警察と闇組織が結託して薬物を製造しているともいわれ、薬物の撲滅は困難だ。

日本にも流入している。横浜税関は今年5月、香港発の海上コンテナ貨物から、中国・広東省の輸出業者が送り主となる覚せい剤350キロ(末端価格224億円)を押収し、7月に4県警が3人の暴力団員らを逮捕した。8月にも茨城県で、船で密輸された覚醒剤480キロ(同300億円)を捜査当局が押収。この事件で、警察は暴力団関係者や中国人の男ら数人を逮捕した。

(翻訳編集・叶清)

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