新興ビジネスで騒動

人気Youtuberヒカルが無期限活動停止 本人は動画投稿し謝罪

くじの屋台で当たりが出るまで購入し、一回1000円のガチャガチャを空にするなど派手なパフォーマンスで人気を集めたYoutuberヒカルが4日、無期限活動停止を発表した。本人は同日、動画共有サイトYoutubeに動画を投稿し、金融取引サービス「VALU」にまつわる一連の騒動等について釈明・謝罪を行った。

VALUとは、対象個人を市場で評価し、株に相当する価値「VA」を取引する金融サービス。株式会社VAZが提供する。対象個人の価値はSNS(フェイスブックやツイッター、インスタグラムなど)の登録者数やフォロワー数で変化する。VAの売買はビットコイン(仮装通貨)で行われるが、円換算が可能。取引画面はあたかもネット証券取引のようで、実質、容易に資金調達ができる仕組みとなっている。

問題は、この人気Youtuberは、自身が上場するVALUについて8月14日、「明日からVALUで動き出す予定!」とツイートしたため、買いが殺到、高騰してストップ高となった。直後にヒカル本人やVAZ顧問などの関係者、所属タレントが保有していたVAを計画的に大量売却し、市場は一気に暴落した。

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ヒカルは5000万円相当の利益を獲得したとされる。損害を被った人を中心に、「売り逃げだ」「インサイダー取引があった」などの疑惑と批判が噴出した。

この騒動について、ヒカルは17日、最高値での買戻しを宣言。「全てのビットコイン(5465万円相当)を使って自社株買いを行います! 」とツイートした。

VALU株式会社は対応として、一度に売り出すVA数を発行数の10%までに規制した。23日、声明で、ヒカルの所属事務所「VAZ」および関係者の井川氏に対しVAの大量販売等の行為による損害の補てんを勧告した。また同社は9月5日、ヒカルや事務所との(VA売買)企画の関与について否定した。

9月4日に公開した動画の中で、黒のスーツをまとい、トレードマークだった金髪を黒髪に変えたヒカルは、謝罪文を粛々と読み上げた。「すごく軽い気持ちで」VALUを始めたとし、株式優遇の有無について「誤解を招いてしまった」「全て僕の責任です」と謝罪した。VAを他の関係者と共同で売却した理由について「インパクトの残ることがしたい」とし、金融サービスへの「認識不足」と頭を下げた。

VAZ社の森泰輝代表は、ビジネス・インサイダーの取材に応え、所属Youtuberたちが「どれだけ自分たちに人気や影響力があるかをVALUで示したいと考えていた模様。VALUでお金を儲けたいという気はなく、VALUで得た利益は寄付をするつもりだったようだ」と釈明した。VA大量売却について、事前に認識していなかったと述べた。

Youtuber(ユーチューバー、Youtubeクリエイター)とは一般的に動画共有サイトYoutubeに動画を継続して投稿し一定の収入を得る者であり、広告や企業協賛での商品紹介などで高額収入を得られるため、近年、日本をふくめ世界的に躍進する「職業」として注目を集めている。

(文・文亮/編集・甲斐天海)

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