海の生物たちは、どのようにして眠るのでしょうか?スイスのカメラマン、フランコ・バンフィ(Franco Banfi)さんは、カリブ海の水深約20メートルあたりで、垂直に立って眠る10頭のマッコウクジラを発見しました。
バンフィさんより以前、2008年にイギリスのセント・アンドルーズ(University of St Andrew’s)大学の研究チームが、チリの北海岸で立って眠るマッコウクジラに出会ったことがあります。全長12メートル、体重50トン以上あるマッコウクジラは群れをなしており、縦の形で浮遊しながら約10〜15分間眠っていました。当時の発見により、マッコウクジラの睡眠スタイルが明らかになりました。
実は、マッコウクジラは半球睡眠(unihemispheric sleep)で眠ります。半球睡眠とは、左右の大脳がそれぞれ片方ずつ交代で眠る現象を言います。マッコウクジラの脳波を測ってみると、片方は覚醒時の脳波で、もう片方は睡眠時の脳波を示しました。研究チームの船が彼らに近づいても、眠っているマッコウクジラは微動だにしませんでした。その中の一頭に船がぶつかった時、クジラたちはようやく他の場所へ移動したそうです。
マッコウクジラがなぜ立って眠るのかについてはよく分かっていませんが、呼吸するのにすぐ水面に出られるためだという説があります。一方、新江ノ島水族館のデータによると、マッコウクジラの最大潜水深度は3000mで、最大潜水時間は1時間38分。十数分の睡眠の合間に、呼吸するために水面に上がる必要はなさそうです。
広大な海に棲息する生き物の生態は、まだ未知の領域です。マッコウクジラの睡眠スタイルの謎が解き明かされることを研究者たちに期待しましょう。
(翻訳編集・豊山)
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