中国電気自動車ブーム エコどころか環境破壊
中国では、政府の後押しもあって、電気自動車(EV)市場が急成長を遂げている。2020年には500万台のEVが全国に広がる可能性がある。しかし、このブームは必ずしも環境面でプラスになっていない。
科学誌「応用エネルギー」5月10日号によると、中国のエネルギー専門家の調査で、中国のEV生産と運用には石油系エネルギーを使うために、温室効果ガス排出量と総エネルギー消費量は、石油自動車と比較して、約50%増加すると指摘した。
EVを奨励する多くの先進国は、電気の生産源をクリーンエネルギーにしている。しかし、中国では、依然として石炭火力発電をもとに電力を生産している。中国当局の「2016年エネルギー工作指導意見」によると、同年のエネルギー生産・消費は、石炭、石油、ガスの化石燃料が合わせて8割を占める。
中国・習近平国家主席は5月、地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」を擁護すると表明した。「第13次5カ年計画」(2015年~2020年)で、全エネルギーに占める石炭消費比率を62.6%に低下させるとし、「石炭の過剰資産の淘汰」「炭鉱数の規制」「石炭のクリーンで効率的な利用」を記した。しかし、ここでは石炭全体の生産・消費量を削減することを目標としていない。
ブルームバーグによると、米国では、電気自動車は、従来の自動車による温室効果ガスの排出量を半減させることが出来ると報じている。西側先進国など、再生可能エネルギーがより一般的である国では、EVは温室効果ガスの影響をさらに少なくさせることができると期待されている。しかし、中国では、エネルギー生産の源が石炭発電などに頼っているため、環境への影響は比べることが出来ない。
中国のエネルギー生産分野は、化石燃料から再生可能・クリーンエネルギーへの移行は、長い道のりであるようにみえる。
(翻訳編集・佐渡道世)