中国の700都市で爆竹を規制 大気汚染を懸念 「市民の楽しみを奪った」
【大紀元日本2月17日】中国旧正月といえば、耳栓が必要なほどけたたましい爆竹で新年の祝砲を上げるのが慣例だ。しかし、今年はこれまでで最も静かな大晦日になるかもしれない。中国700都市は、騒音や大気汚染を理由に新年を祝う爆竹を規制すると発表した。
紅い紙吹雪を周辺に撒き散らす爆竹が数百発上がれば、掃除にも手間がかかる。若年層は、やかましく、煙がもうもうと立ち込める爆竹を「時代遅れ」とみている。5つの省都を含む138都市は爆竹使用を禁じた。他536の都市や地区も規制を設けた。
大気汚染を理由に爆竹を禁止するのは「政治の怠慢」で市民の楽しみを奪っていると、ネットでは批判の声が上がる。中国重慶では以前、大気汚染を理由に肉の網焼き屋台の営業を禁止したという例がある。「爆竹の規制は、大気汚染問題を解消できない政府の惰性によるものではないか。(汚染原因の爆竹利用者や屋台営業者)全員を投獄すれば、問題は解決するのか?」と痛烈に皮肉った。
中国歴史書によると、爆竹は唐や宋の時代から続く伝統行事だ。2千年あまりの歴史を持つ爆竹は、当初は鬼払いするものとして使われていたという。宗懍著『荊楚歳時記』にはすでに正月を祝う習慣化した行事として、爆竹を鳴らすことが記されている。
中国の歴史に刻まれた、けたたましく爆竹の弾ける新年祝賀を、懐かしむ人は多い。最近では、季節商品として「電子爆竹」が販売されている。爆竹の形をした筒状の電子機器がぶら下がるその商品からは、電子の紅い光がまたたき、内蔵スピーカーから「ババババ・・・」と炸裂音が聞こえる。紙は散らからないため片付けの手間はなく、煙で目を痛める心配もないが、「本物」と比べたら盛り上がりを欠く。中国人にとって、煙と炎が舞い上がる爆竹のない旧正月はやはりどこか物足りない。