【食と健康】 生姜の薬用効果

【大紀元日本8月31日】生姜は食用、薬用に多く利用されます。さまざまな健康効果があり、漢方医学の処方の中にも多く含まれています。そのまま使うほかに、加工して効能を変えて使用する場合もあります。

温性で寒を散らす効能があり、風寒による風邪、胃寒による嘔吐、肺寒による咳などに、また、蟹や魚、生薬の毒を消す効果があり、蟹や魚料理、生薬の修治(加工)にも昔からよく使用されています。

例1、風寒による風邪の初期、悪寒、発熱、頭痛、鼻塞などの症状には、鮮生姜15g、白葱30g、黒砂糖10gを水200mlで10分ほど煎じて、その煎じ液を温かいうちに飲んで少し汗をかけば風邪は治ります。

例2、冷たい飲食や環境の要因により胃が冷えて、胃痛、吐き気、嘔吐をする場合は、鮮生姜15g、黒砂糖10g、紹興酒30mlを水150mlで10分ほど煎じて、その煎じ液を温かいうちに飲みます。

例3、慢性的に咳が続く場合は、生姜汁60mlと蜂蜜10gを軽く煎じて飲みます。子供の咳には、生姜200gをお湯で煎じてお風呂に入れ、入浴すると良いでしょう。

例4、脳卒中、熱中症、食中毒などのようなさまざまな急性疾患には、生姜汁と童尿(6歳以下の男児の尿)を混ぜて飲めば良いと古代の書物に記載されています。

最近、健康食品として生姜を多く食べている人は少なくありません。しかし、何事にもバランスが大切で、度が過ぎれば逆に問題を起こすこともあります。この点について、古代の医者は注意を喚起しています。

明代の名医・李時珍(りじちん)は、「久しく生姜を食べれば、体内に熱が蓄積して、目の病気にかかりやすくなる。痔を持つ患者が、生姜を多く食べお酒を多く飲めば、痔が再発しやすい。皮膚の出来物などの化膿性疾患に罹っている人は、生姜を多く食べれば、悪肉(肉芽腫)が生じやすい」と『本草綱目』に記しています。

唐代の名医・孫思邈(そんしばく)も「8~9月(旧暦)に生姜を多食すれば、翌年の春には目の病気になりやすく、筋力が弱まり、寿命が縮む」と述べています。それゆえ秋には生姜を多く食べないほうがよいでしょう。

その他に「夜には生姜を食べない」という説があります。生姜は辛温の性質があり、気を散らす効能があるためです。気が収斂する夜は気を散らしてはいけない、つまり、自然のリズムに従うことが養生法の大前提です。

そのため「寝る前に葡萄を摂り、起きてから生姜を摂る」とも言います。葡萄は消化促進効果があるので、寝る前に食べれば食滞が起こりにくく、生姜は食欲を促進する効果があるので、起床後に食べたほうが良いということです。

(利雪珍)