中共の反日・反米の扇動手段

【大紀元日本7月13日】ある日、中国での反日宣伝に関するテレビ番組を見たことがある。司会者が男女二人の中国人ゲストに「中国で反日の宣伝を受けたことがありますか?」と聞くと、女性は「ありません」と答えたが、男性は「あります」と述べ、その例を挙げた。彼によると、中国人は日本人を「小日本」或いは「日本鬼子」と呼ぶことがあるという。

中国共産党(以下、中共)は詐術に長け、反日・反米キャンペーンで国民を扇動する手段もとても優れている。中共がつく嘘は、何げなく聞いていれば本当にそれらしいので、普通の人にはそれを見破ることが難しい。更に、中共が自分の嘘を隠す手段は、最も恐ろしい。そのため、一部の人は中共が嘘をついていると知っていても、それを暴き出す勇気がない。もし私が日本に来なかったら、中共の詐術を見破ることも難しく、たとえ見破ったとしても、恐らくそれを暴き出す勇気もなかっただろう。

中共が国民を騙し、反日・反米を扇動する手段はたくさんあるが、ここでは日本人に最も関心の高い例を挙げて論じてみたい。

「南京大虐殺」

「南京大虐殺」事件があったかどうかについて、私は評価したくない。私が述べたいのは、中共がどのように「南京大虐殺」事件を以って、中国人に日本人を恨ませたかについてである。

現在たくさんの中国人が、日本が第二次世界大戦の時に中国を侵略し、南京で虐殺を遂行し、30万人の無辜の中国人を殺害したと言う。確かに聞くだけでも残忍であり、良心さえある人ならだれもが日本人を恨むだろう。しかし、「30万人というのはどうやって統計したのですか。死者の名前はありますか?」と聞くと、彼らはすぐに、「戦争の時期に統計できるわけがないでしょう」と答える。ふと聞くと、この話は理に適っているように聞こえるが、よく考えてみると、この話は自己矛盾ではないだろうか。そこで、「戦争の時期に統計できないと言っているのに、どうやって30万人の数字が統計できたのでしょうか。29万でもなく、31万でもなく、ちょうど30万ですか?」と聞くと、今度は、「あなたの愛国心はどこに行ってしまったのですか!あなたは日本人のために弁護しているのですか」とすぐに怒ってしまう。

これは中共が国民を扇動して日本を恨ませる典型的な例である。まず、あなたを騙そうとする。もしあなたが騙されず、彼の話に疑問を持つと、今度は政治を以って脅かす。一旦政治にかかわると、中共に「反革命者」の烙印を押され、生涯批判される恐れがあるため、ほとんどの中国人は黙ってしまう。そのため、多くの中国人は何も考えずに、政府に教えられた通りに意見を述べるのだ。

私は長崎原爆資料館と広島平和公園に行ったことがある。日本人は原爆による死亡者の人数を1桁まで統計しており、死亡者数、氏名、身元不明者など全てを統計で明らかにしている。同じ時期に起こった戦争なのに、何故中国は統計できないのか。統計する能力がなかったのか、それとも統計するつもりもなかったのか。

実は、1945年の終戦後、中共は国内戦争を引き起こし、中華民国を覆すことに専念し、戦時中の死亡者数の統計などには興味もなかったと思われる。従って、「南京大虐殺」事件があったとしても、死亡者数を統計できなかったというよりも、最初から統計する気がなかったのだ。

1949年、中共は南京を占領すると、国民に国民党を恨ませるために、国民党が「南京大虐殺」事件を引き起こし、30万人の共産党党員を殺したと宣伝した。雨花台に「雨花台烈士陵墓」を建て、陵墓記念碑に国民党政府が雨花台で30万人の共産党烈士を殺害した記し、毛沢東は自ら記念碑に「死亡烈士万歳」と書いた。

中共が「南京大虐殺」事件は日本人が引き起こしたと言い始めたのは、日中の国交が正常化してからのことである。いろいろな情報から見ると、1979年より前の中国大陸の中学歴史教科書には、「南京大虐殺」に関する内容がなかったらしい。私はちょうど1979年に中学校を卒業したが、確かに「南京大虐殺」という内容を勉強した記憶がない。

中共が「南京大虐殺」事件を取り上げる目的は、中国国民に日本を恨ませ、中国国民が日本に対して深く理解しないようにするためである。一旦中国人が、日本が中国より進んでいることが分かれば、中国人は中共による独裁政権に反対する。そのため、「南京大虐殺」事件をわざと大げさに取り上げるのだ。

「日本軍国主義」

日本でちょっとした「軍事行動」があったり、或いは日本の首相が靖国神社を参拝したりすると、中共はすぐに「日本の軍国主義が復興しようとしている」と主張し、国民を扇動して反日デモを行わせる。多くの中国大陸の中国人は中共に扇動されて反日デモに参加する。しかし、「日本軍国主義」の代表人物は誰か、或いは代表組織が誰かについては、中共は教えてくれない。

私が高校生の時、政治課の先生は言った。「日本の人民は良いもので、日本帝国主義は悪いものだ」。しかし、私はこの話がなかなか理解できなかった。「帝国主義国家にも人民がいるのか?人民は社会主義国家にしかいないではないか?」私はその時まで、帝国主義は悪いもので、人民は良いものだから、この二つが一つの国に存在するはずがないと思っていた。

ある日、政治課で「人民」という概念を勉強した。あまりにも印象深かったため、未だにその概念を覚えている。教科書にはこのように書いてあった。「現段階において、すべて社会主義を支持する人は人民である」。当時、私は何かが分かったように感じた。「なるほど、帝国主義の日本にも、社会主義を支持する人がいるんだ」

来日してから、日本では「人民」という単語はあまり使われず、「帝国主義」や「軍国主義」も論じないことが分かるようになり、私が中学と高校の政治課で習った上述のような内容はすべて嘘であることが分かった。中共がこのようにする目的は、日本人を「親共派」と「反共派」に分け、「親共派」なら人民、「反共派」なら帝国主義と決めつけて、中国人に「反共派」を盲目的に恨ませることである。

長崎原爆資料館、広島原爆資料館、新宿平和祈念展示資料館などは全部政府の行為であり、私は日本政府と国民が確かに戦争に対して反省していると思う。私は自ら多くの日本人、特に老人達が戦争に対して反省している話を聞いたことがある。もちろん、「軍国主義」を主張する人もいるかも知れないが、日本政府としては反省していると思う。

私の認識では、「軍国主義」と言うのは、国或いは政府、或いは軍隊を左右する力がある人の行為であり、侵略を目的に軍力を発展させ、軍事威力で他国を脅かし、教科書、テレビ、ラジオ、新聞、小説、歌などなどを利用して、国民に侵略戦争を正義的戦争として宣伝することだと思う。このようにしなければ「軍国主義」を主張しているとは言えない。私は来日して15年経つが、日本ではこのような行為を見たことがない。しかし、中国にいる時にはこのような行為を見たことがあり、私自身もこのような宣伝を受け、このような活動に参加したことがある。

1979年、中共はベトナム(越南)を侵略したことがあるが、中共は未だにそれを侵略戦争と認めず、「自衛反撃戦」と主張している。中共は中越戦争に関する映画やテレビ番組をたくさん作っている。例えば、『自衛反撃戦』、『高山下的花環』、『自豪吧!母親』などだ。私が高校生の時、学校全体が休校して『自衛反撃戦』という映画を見させられた。

中国にはまた、侵略戦争を美化する歌がたくさん残っている。例えば、「望星空」、「血染的風采」、「十五的月亮」、「再見吧、母親」など。これらは誰一人の行為でもなく、ある団体の行為でもなく、政府の行為、共産党の行為である。これこそが「軍国主義」を主張しているのではないだろうか。しかも、中国軍部高官・朱成虎少将は2005年、国防大学でスピーチをした時、「我々は先制核攻撃により中国以外の人口を減らすと共に自民族を温存させる事に力を注ぐべきであり、この核戦争後に百年余りの屈辱に満ちた歴史を清算し、未来永劫この地球を支配するようになるだろう」と発言したことがあるが、これこそ軍国主義ではないだろうか。

一石二鳥の反米手段

1997年、私が来日したばかりの時のことである。ある日、朝日新聞で「18年間牢屋に監禁されていた中国民主化活動家の魏京生氏が、釈放されてからすぐにアメリカへ渡った」というニュースを読んだことがある。これを見て、私は「アメリカは何故いつも中国に内政干渉し、いつも中国の政治犯を自国につれて行くのか」「アメリカは確かに『反華勢力』だ」と思いながら、怒っていたことがある。

数日後、また朝日新聞で魏氏のインタビュー記事を読んだことがある。魏氏は、なぜ中国国内で民主化運動をせずに、アメリカに来て民主化運動をするのかという質問に、「私は中国を離れたくないし、中国で民主化運動をしたいと思っています。しかし、中国にいれば投獄されるしかありません。私を釈放する前提条件は、釈放した後すぐにアメリカに行くことでした」と言った。これを見て私はまた怒り、中共の意図を見抜くことができた。中共の目的は、国民を騙してアメリカを『反華勢力』として恨ませると共に、民主化活動家をも『反国者』として恨ませる。これは「一石二鳥」の反米・反民主活動家のやり方であることが分かったのだ。

2006年10月に魏京生氏が来日した時、私は彼と一緒に演説したことがある。私は演説中、朝日新聞で見たことを言いながら、皆の前でそのことを魏氏に確認した。魏氏はその報道は確かに真実で、しかも、二人の警察官が彼を牢屋から直接アメリカ行きの飛行機へつれて行き、出発する2分前に警察官が飛行機を降りたと証言してくれた。

現在、中国では全てのマスコミが政府にコントロールされており、インターネットもブロックされているため、大多数の中国人は上述の真実を知ることができない。従って、彼らは中共の嘘を見破ることができず、アメリカを『反華勢力』として恨みながら、民主化活動家をも恨むしかない。

以上は中共の反日・反米の極めて代表的な例をいくつか挙げたが、このほかにも中共の手段はたくさんある。

中共には自分の祝日がある。例えば、5月4日の「五・四青年節」、7月1日の「七・一建党日」、10月1日の「十・一建国日」など。毎年これらの祝日には大合唱のコンサートを行う。前重慶市書記・薄煕来氏が行っていた「唱紅打黒」を紹介する文章には、大合唱の写真がたくさんあるが、恐らくみなこの類の歌だろう。大合唱の歌の内容はすべて共産党の宣伝部が決めるが、全て共産党を讃える歌である。例えば、『没有共産党就没有新中国』、『社会主義好』、『中国、中国、鮮紅的太陽永不落!』など。その中には必ず反日・反米の歌も入る。例えば、反日映画『地道戦』主題歌の「地道戦」、反米映画『上甘嶺』主題歌の「我的祖国」など。

何故共産党の祝日に反日・反米映画の主題歌を歌うのかといえば、実はこれらの映画の目的は反日・反米だけでなく、いわゆる「抗日戦争」と「抗米援朝戦争」の中で、共産党が如何に偉かったのかを讃える目的も兼ねている。従って、このような歌を歌わせるのもやはり「一石二鳥」の反日・反米の手段に過ぎない。

政治目的から大合唱のコンサートをするため、合唱する人も、それを見る人も、皆芸術の立場から観賞するのではなく、いわゆる「愛共産党・愛国」の立場から観賞する為、やり方も特別である。例えば、「地道戦」を歌う時は大人しく静かに歌うのではなく、映画のシーンをまねて歌うので、滑稽である。しかも、これらの歌は全て迫力があるため、歌う人も、聞く人も、みんな興奮する。

反日映画『地道戦』には、白いタオルを頭にかぶった農夫が、警戒した顔であっちこっちを見ながら見張りをし、それから何かを見つけたかのような表情をして、身をひるがえして村に向かって走りながら、「鬼子進村了!」(日本人が村に進入してくる)と大きい声で叫ぶクローズ・アップシーンがある。「地道戦」の大合唱をする時、皆がきちんと立ち並んだ後、一人が赤い旗を力強く振りながら、大きい声で「鬼子進村了!」と叫び、それから前奏が始まる……。

このような反日・反米宣伝はあまりにも多く、しかも長年続いているため、中国人はそれを反日・反米宣伝だとは思わない。特に、このような環境で生まれ、成長した人は、子供の時から見慣れているため、このような行為は当然、愛国主義だと思っている。

現在、心より反日・反米を信じる中国人はいったいどれぐらいいるだろうか、もし、日本と米国が対中政策を変え、中国人に日本と米国へ自由に入国できるようにするならば、恐らく90%以上の中国人が日本と米国へ行くだろう。

実は、中共は中国国民に日本と米国を恨ませるだけで、中共自身は反日・反米しない。毛沢東は『帝国主義』の日本皇軍を大恩人だと言って感謝したことがあり、江沢民も『反華勢力』の代表国の大統領クリントン氏を中国人民の友人だと言ったことがあり、現在の中共高官達は、皆何らかの方法で自分の子供達をアメリカへ移民させている。

「南京大虐殺」事件も同じで、事件が実際にあったかどうか、いったいどれぐらいの人が殺害されたのかは、中共にとっては大事なことではない。ただ、中国人に日本人を恨ませることさえできれば、それで結構なのだ。中共が中国政権を握っている限り、「南京大虐殺」事件について徹底的に調べることはないだろう。天安門広場で反腐敗と民主化を主張する学生を大虐殺する政府、2008年に起きた四川省汶川大地震での死亡人数さえ統計しない政府が、数十年前に起きた事件について調べることはないだろう。

現在、「南京大虐殺」事件をめぐって絶えず論争する人がいるが、激しく論争すればするほど、中共は裏で笑うだろう。「南京大虐殺」事件で殺害された人数についても、論争する必要がないと私は思う。第二次世界大戦時に、日本が中国にかけた「迷惑」はこれだけではないのだから。

本当に日中両国の平和を願うなら、皆協力して両国関係を破壊する要素を無くすために努力するべきだ。その要素が中国側にあるにせよ、日本側にあるにせよ、両国関係を破壊するなら、無くすべきである。現段階において、両国関係を破壊する要素は、まさに中共なのだ。

(完)

高峰一(タカミネ ハジメ)-1989年7月、中国延辺大学を卒業。中国で環境保護関連の仕事に従事した後、1997年4月に来日。2003年9月、東京工業大学の博士課程を修了。現在は日本の大手企業に勤める傍ら、新唐人テレビ局にて日本文化を紹介するテレビ番組を制作する。日・中・韓三国の伝統文化に興味がある。