【生活に活きる植物】16 ・鬼灯(ホオズキ)

【大紀元日本9月4日】東南アジア原産で、温帯に自生するナス科多年草。観賞用や食用に栽培されています。6~7月に淡黄色の花を咲かせ、花後、萼(がく)が大きくなり、果実を袋状に包み込みます。果実は赤く熟すと子供のおもちゃになり、花材として重宝される一方、お盆には盆棚に飾られます。毎年7月に浅草の浅草寺で催されるほおずき市が有名です。

地下茎と根をよく水洗いして日干しにしたものが生薬の酸漿根(さんしょうこん)で、全草を乾燥したものを酸漿(さんしょう)といいます。熟した果実も日干しにして煎じます。他にセンナリホオズキ、ショクヨウホオズキなど数種類が栽培されています。

学名:physalis alkekengi

別名:灯篭草(トウロウソウ)、カガチ、ヌカズキ

成分:苦味(フィサリン、カロチノイドなど)、リノレン酸、ビタミンなど

【薬用効果】

鎮咳、解熱、利尿薬として、咽喉痛、咳、便秘、黄疸(おうだん)、浮腫(むくみ)に使用します。酸漿は乾燥物を一日量3~10g、酸漿根は乾燥物を一日量10~15g、それぞれ煎服します。堕胎作用があるので妊婦には禁忌です。

 【食用】

若葉を湯がいてアクをとり、炒めます。食用ホオズキの熟した果実は生食します。

実はオレンジがかった黄色で、フルーティーな香りに甘酸っぱい味がします。ビタミンA・Cやイノシトールが豊富に含まれており、コレステロール値の降下や美肌効果があるとされています。

ほおずきの花(写真・ハナビシソウ)

 【その他】

生の枝葉は煮出してアルミ媒染で黄茶、スズ媒染で芥子色に染まります。『古事記』にも登場するホオズキは、日本文化と切り離せません。果実で人形や笛を作って楽しむ伝統的な遊びもあります。果実の皮を破らないように注意して揉み、少しずつ中の果肉や種を出します。これを口の中でころがし、空気を押し出すと笛の音がするのです。子供にとってはとても難しい作業なので、何回も挑戦し、成功したら喜びもひとしおでしょう。ホオズキは文学の題材として、また季節を表す言葉として昔から親しまれています。

(文・ハナビシソウ)