【大紀元日本5月14日】不正コピーをして作ったソフトウェアやコンテンツのことを日本語では「海賊版」というが、同じく漢字を使う隣国中国では「海盗版」という。「賊」も「盗」も人の物をぬすむことに変わりはないが、漢字の由来をたどってみると「海賊版」と「海盗版」のニュアンスが少し違うようだ。
まず「賊」から見ると、左側の「貝」は昔は一種の貨幣であり、金銭的財産を表す。真ん中の小さい「十」は「人」という字の変化した形であり、右側の「戈」は攻撃的な武器を表す。つまり、武器を手に人の財産を奪う強盗は「賊」のことである。
次は「盗」を分解してみよう。左上の「冫」は実は「氵」の間違いである。「冫」は氷の割れ目の形を表し、氷結の意味を表す部首でこの字とは関連性がない。「氵」はもちろん水のことで、隣の「欠」は足りないことを指す。下の「皿」は食べ物などをよそう入れ物のことで、これはすなわち、食べ物は他人の「皿」にある、自分には「欠」けたご馳走を目の前にして思わず口から「水」(よだれ)が出る。そして、我慢しきれずにこっそりとそのご馳走を取ってしまうのは「盜」のことである。
2文字の由来からも分かるように、昔の中国語のなかで「盜」はやましいことをするコソ泥のことで、陰で悪さをする人のことを指す。一方、「賊」は「堂々」と手に武器を持ち人の所有物を奪う人のことを指す。同じく人の物を取るという意味にしても、最初はその取り方を区別して違う漢字を当てていたが、現在では「盜」と「賊」の違いが段々と曖昧になり、混同されるようになってきた。
冒頭の「海賊版」の話に戻るが、普通、不正コピーをするときは人目を恐れ、こっそりとするのであり、その意味では日本語の「海賊版」よりも中国語の「海盗版」のほうがふさわしい。しかし「海盗版」を使う中国では、最近指摘されている知的財産権に麻痺してしまったのか、それとも開き直ったのかはわからないが、手にある「市場」という武器におごり高ぶり、堂々と人目も憚らずに「PRソング」やら「iPad」やらを作っている。これはむしろ「海盗版」ではなく「海賊版」なのだ。日本の言葉と中国の言葉を取り替えてみると漢字の持つ本来の意味にピッタリとしてなかなか面白い。
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