【大紀元日本2月24日】「この時代は、いたるところに誤字と当て字ばかり」。これは中国でよく耳にする苦情である。この言い方を借用し、わざと誤字と当て字をもって作られた順口流がある。次のものは、社会の問題をとりあげ、独特なおもむきで時弊を批判している。
ここに挙げているのは、ほとんど熟語化し、中国のスローガンとして誰でも知っているものである。
原語 (日本語訳)
《這年頭,到処都是錯別字》
(「この時代は、いたるところに誤字と当て字ばかり」)(その一)
植樹造零。(樹を植えて零を造る。)
白収起家。(収賄で裸一貫から身代を築き上げる。)
勤撈致富。(よく横領して金持ちになる。)
択油録取。(利益のあるものを選んで採用する。)
得財兼幣。(品も金も両得する。)
語釈=
≪植樹造林→植樹造零≫
(樹を植えて林を造る→樹を植えて零を造る)
20世紀50年代に行われた「大躍進」運動により、山林が大量に伐採され、環境問題が日増しに深刻化してきた。そのため、70年代から「植樹造林」(樹を植えて林を造る)運動が大々的に繰り広げられてきたが、しかしその効果はきわめて小さい。ところによって、植木の活着率はほぼ零である。よって「植樹造林」は、「植樹造零」に書き換えられたのである。「零」の発音は「林」に非常に近いし、地方によって同音である。
≪白手起家→白収起家≫
(裸一貫で身代を築き上げる→ただの収賄で裸一貫から身代を築き上げる。)
今の中国では官位を売買することはごく普通のことである。官僚になれば、社会地位はもちろん、あっという間に金持ちになることもできる。それで、金を払って官位を買った者は官職についてから、収賄や横領などによって失った金を補填したうえ、どんどん身代を築き上げていくのである。「白手」とは裸一貫で、「白収」とはただで賄賂を受け取ること。「手」と「収」はほぼ同音で声調が異なるだけである。
≪勤労致富→勤撈致富≫
(勤勉で金持ちになる→よく横領して金持ちになる)
「勤労致富」は、古から代々言い伝えられる訓辞である。しかし、今の官僚たちは勤勉により裕福になるのではなく、収賄や横領をもって富を築くのである。「勤」は副詞で、しきりに、よく、必死にという意味で、「撈」とは不正な手段で財産を獲得することである。
≪択優録取→択油録取≫
(優秀なものを選んで採用する→利益のあるものを選んで採用する)
「択優録取」は優秀な学生を選ぶという意味で、大学入試が回復された1977年から使われはじめた言い方である。その後、社会一般の人事採用、抜擢人事などにも使用されるようになった。人事の国と言われるだけに、人事採用や抜擢のばあい、もっとも優秀な人材より、もっとも利益の得られるものを採用し、賄賂+人脈はすでに絶対指標となっているのである。「油」とは「油水」の略で、利益のことを指している。
≪徳才兼備→得財兼幣≫
(才徳兼備→品も金も両得する)
「徳才兼備」は才徳兼備のことで、人事採用や抜擢人事の基本標準とされている。しかし、実際になると、人事権を握っている者は「択油録取」を行うので、結果的には賄賂として物も金も獲得することができる。それで、「徳才兼備」は「得財兼幣」に書き換えられたのである。「幣」は「貨幣」の略で、金を指している。
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