【大紀元日本11月28日】中国伝統医学の歴史は、数千年にもおよぶと言われており、西洋医学とは違った知識体系を形成してきました。
古代中国人は、人間や自然、宇宙を観察するうちに、あるひとつの法則があることに気付きました。それは、どんな物質にも、「陰」と「陽」の性質があるということです。この二つの力は、全く逆の性質を持ちながらも、互いに補い合い、そして依存しあいながら存在すると古代中国人は考えたのです。
この陰陽という互いに相反する要素は、物質だけに留まらず、人間の感情や社会現象など、すべての抽象的なことにまで及ぶ事を発見しました。例えば、「悪」の概念がなければ「善」は存在しえず、「憎」の心がなければ「愛」とは何かが分かりません。その他にも陰陽は「日夜」「寒暖」「男女」「勝ち負け」など様々な概念に関わります。
古代中国の物語
「中国医学概論(Chinese Medicine Compendium)」には、次のような例え話が載っています。
ある男に、愛人ができた。彼には愛人より何倍も美しく、大変親切で夫を愛する若い妻がおり、なぜ男が愛人を作ったのか妻には理解できなかった。悩んだ末、若い妻は賢人のもとを訪れて夫を振り向かせるにはどうしたらよいか相談した。すると賢人は、美しい若妻に対して「まず化粧をせずに、身づくろいも華美にせず、そのまま一ヵ月過ごしてから来なさい」と告げた。若妻はその言葉に従い、化粧もせず身なりも地味にして一ヵ月過ごし、また賢人のもとを訪れた。すると賢人は、「今度は化粧をして、美しく自分を飾りなさい。でも、夫からは距離を置くのです」と述べた。最初の一ヵ月、夫は化粧もしない地味な妻をからかうばかりだったが、再び妻が美しくなると、夫はなぜこんなに美しい妻を騙してまで愛人をつくったのか、と心の中で自分に問うばかりとなった。
なぜ若妻は、夫の心を掴むことができたのでしょうか?陰陽説によると、常に完璧な女性は、実は彼女の片側しか見せておらず、「アンバランス」なのです。彼女の夫を目覚めさせるには、「美しくない時の顔」を見せる必要があり、バランスをとることが大切だったのです。なぜなら、彼女が持つ両方の要素は、どちらか片一方だけでは存在することができないからです。
中国医学の人体の捉え方
古代中国では、陰陽の概念が人体にも適用されると考えられました。中国医学では人体を「小さな宇宙」と考え、「気」と呼ばれる生命のエネルギーによって人体が機能していると考えられています。この「気」には流れていく道があり、その通り道は「経絡」と呼ばれています。「陰陽」も、この気の流れに関係してきます。
気の流れが滞ると?
もし陰陽のバランスが崩れ、気の流れが滞ると、経絡が詰まります。すると、身体のある箇所に気が滞ったり、または足りなくなったりして、心身の健康に影響してきます。気が滞ったり、少なくなったりすると身体のバランスが崩れ、「病気」となります。慢性的にバランスが崩れると、身体が長期的に弱くなり、その症状が激しくなると、高熱を出したり、感染病にかかったりします。その他にも、陰陽のバランスが崩れることで様々な症状がでてきます。
従って、中医学で行われる鍼、指圧、マッサージ、漢方、気功などは、すべて「気」の流れを促し、身体のバランスを取り戻すことを目的としています。その中には、陰陽のバランスを整えることも含みます。
生命の危険を伴う病気は西洋医学の手法による手術が必要ですが、そのほかの様々な症状、頭痛、神経痛、疲労、脊柱や関節の病気、アレルギー、気管支喘息、消化不良などは中国医学で改善できることが分かっています。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。