【大紀元日本9月28日】台湾衛生署はこのほど、突然香港の規定に従い、食品中のメラミン含有率基準を下げると発表した。これに対し、台湾各界および消費者団体から厳しい批判を受けたため、衛生署署長は責任を取り辞職したことが明らかになった。
台湾衛生署はこれまで食品の中にメラミンを含有してはならない基準を設けており、有毒粉ミルク事件発生後、中国製乳製品を含有して流通しているすべての食品の検査を指示した。しかし、指示した同日に突然、メラミン含有量は2・5ppmを超えていなければ、検査合格とする新たな基準を発表した。
企業側は急な変更の対応に戸惑ったと同時に消費者団体および食品安全専門家らの非難が殺到した。これを受け、衛生署の林芳郁署長は、今回の発表で民衆に対して、誤解および不安を与えたことの責任を取り、辞職を表明した。
*各界から非難
衛生署の突然の発表に対して、台湾の食品安全および毒物専門家たちはメラミン含有基準を下げることに反対する声を上げた。専門家たちは、工業用途のメラミンは食品の中にあってはならないとし、衛生署がメラミンを食品に使用できるとした新基準は理解できず、許容範囲の2・5ppmがどのような基準で設定したのかも不明だと指摘した。
これに対して、衛生署側は今回発表した基準は香港の規定に従っただけではなく、EUおよび米国の研究数値をも参考にしたと弁明した。しかし、香港を除く、EUおよび米国を含む世界の国々では、メラミンを食品からの検出許容基準に設けていない。台湾の学者らは、検出許容基準を設けていないことは、食品から検出してはならないことを意味するのであって、食品に添加できる許容範囲ではないと強調した。
毒物専門家は衛生署の弁明に対して、メラミンの検出許容基準を設定してしまうと、今の有毒粉ミルクの中にメラミン含量を基準内に加工すれば、販売することができるのかと疑問を呈した。
一方、メラミンが検出された商品をすでに処分した一部の企業は、政府側が頻繁に基準を変更したために生じた損失を国家に対して損害賠償の請求をすると訴えた。
*政策の急転換、憶測が飛び交う
台湾衛生署の基準変更について、世論では、政策の方向転換は食品企業からの圧力を受けたか、または、中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)が態度を表明したことに対して、北京当局を怒らせないようにしたからだとの憶測が飛び交っている。情報によると、9月25日に、国台弁は台湾の「海峡交流基金会(海基会)」に対して、今回台湾で問題になった中国山東省都慶公司の輸出製品は、中国質検機構で検査した結果、メラミンは検出されなかったことを伝えたという。
一方、衛生署の政策転換は、馬英九氏の台湾総統就任後、北京当局に気遣って合わせているとの噂も流れている。
今回の食品安全問題騒ぎは、中国山東省都慶公司が台湾へ輸出した植物性タンパク原料からメラミンが検出されたことが発端だった。中国から輸入される類似製品は台湾の各種食品加工に使用されている。
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