【大紀元日本9月24日】中国全土を震撼させた有毒粉ミルク事件について、一部のメディアは7月末に既に情報を入手していたにもかかわらず、五輪期間前の報道規制により情報の調査が遅れ、報道が五輪後に延びてしまったと国内有力紙の記者が明らかにした。
人気週刊紙「南方週末」の編集者が最近ホームページで公開した手記によると、7月末、同紙記者・禾風氏は、湖北省武漢市の同済医院に腎臓結石で入院している20数人の乳児のほとんどが、三鹿グループの粉ミルクを飲んでいたという情報を入手した。同記者はすぐに湖北省、湖南省、江西省の病院を訪れて情報収集を行った。その結果、治療に当たった医師たちが、三鹿粉ミルクの品質に疑いを持ち始め、乳児の親には同メーカーの粉ミルクを与えないようにと勧告していたことが分かった。
当時、調査の過程でもう一つ重大な情報を記者は入手していた。それは、多くの医師らが地方政府に対して、腎臓結石の爆発的な発生を報告していたにもかかわらず、衛生部(日本の厚生省に相当)やその関連機関はこの事実を伏せ、一切の調査を行わなかった。一方、6月~7月にかけて国家質監総局に検査のために送られた同メーカーの粉ミルクは、すべて合格となっていた。
しかし、同新聞社の編集者は、この粉ミルクのスキャンダルをすぐに報道することができなかった。五輪期間中には、食の安全に関するマイナスの報道は一切禁止という当局からの通達があったからだ。一刻も早くこのことを消費者に伝えなければならないと編集者は焦ったが、当局からのお達しに逆らうことはできない。 編集者は、「私の心は煮えくり返っていた。このことが、大きな災いであるということは疑う余地もなかった。私は深い罪悪感と挫折感に苦しめられた」と当時の心情を手記で述べている。
同新聞社による調査は五輪終了後に再開し、引き続き湖北省、湖南省、広東省などの各地を訪れ、数十人の乳児の親に聞き込み調査を行い、全国各地の多くの病院に電話をかけ状況を分析した。最終的に、三鹿粉ミルクと乳児の腎臓結石の因果関係をほぼ立証できたという。
その後、紆余曲折の末「腎臓結石乳児と困難極まる犯人捜しの道のり」と題する記事が「南方週末」のホームページと「南方都市報」に掲載できたのは9月14日。その前日の夜、その他の国内メディアの報道を受け、渦中のメーカー・三鹿グループは粉ミルクに有毒物質が混入していたことを認め、商品を回収すると発表した。
有毒物質混入問題が明るみになったいま、中国宣伝部は影響の拡大を防ぐため、今回の有毒乳製品問題に関する報道はすべて、官製メディア新華社の報道を転載することを命じ、各社による独自の取材や報道を禁止している。
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