【大紀元日本3月10日】米国医薬品食品局(FDA)関係者は3月5日、米バクスター・インターナショナル・インク社が取り扱っている中国製原料入りの抗凝固剤ヘパリン製品が汚染されている検査結果を発表した。これまでに数百人がこの血液希釈薬品によって死亡した原因がヘパリンの汚染である可能性が高まった。FDAによると、ヘパリンによる死亡患者数はこれまでの4人から19人に増えたという。
バクスター社は昨年に3500万本のヘパリン製品を販売し、米ヘパリン市場の半分以上を占めている。実際、米国では透析を必要とされる45万人の患者がヘパリンを常用している。患者らに薬品の安全性に対するさらなる懸念が生じた。
AP通信社3月6日の報道によると、検査された一部のヘパリン製品サンプルの中から、5~20%が汚染されており、ウッドコック博士はこれに対して、「注意すべき数値だ」と警告した。バクスター社がいつも行っている品質検査で、一部のヘパリンは品質が異常だと検出するはずだが、実際には異常品質だと断定されるものはなかったことに対して、これらの汚染物は化学的成分からして、あまりにもヘパリンに似ていることから、基準検査における区別はできなかったのだと分析した。
ウッドコック博士は、FDAはこの汚染物が製薬工程において混入したのか、または工場側がコストダウンするために故意に添加したのかについて、調査を進めている。
また、ドイツでは、中国製の活性成分をヘパリン製品に使用しているロテックスメディカ・アルズナイミッテルワーク製薬会社も、この会社の製品を使用した患者が血圧低下など副作用の反応が現れたことから、数種類のヘパリン製品をリコールした。しかし、この製薬会社が使用した活性成分はバクスター社の輸入元と異なる。ドイツのシラスイック-ホルスタイン州衛生部門は、リコールされた3ロットのヘパリン製品に使用された活性成分は常州千紅生化学製薬および煙台東誠生化有限公司が製造されたものと書類で示した。
一方、バクスター社が使用した活性成分は、中国に「常州凱普生物化学有限公司」の合資企業を持つサイエンティフィック・プロテイン・ラボラトリズ社の原料であるため、サイエンティフィック社は、今回のリコール事件は「常州の合資企業が製造したものでもないし、バクスター社のものでもない」と関連を否定した。
ロテックスメディカ社製造のヘパリン製品を使用して問題が起きた原因は究明中で、この問題は中国の製造元と関連しているか否かも未だに判らない。ドイツの場合は、約80人の患者がこの製品を使用して上述の病理反応を起こした。FDAによると、事件発生後、ドイツ人の患者の中でこれが原因で死亡した者はいないという。
米FDAは、ドイツのリコール事件発生後、バクスター社の一部のヘパリン製品から検出された汚染物と同様な物質を検査するために、すべてのヘパリン製品およびその活性成分の製造会社に対して、新しい製品検査システムを設けるようにした。
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