【大紀元日本2月13日】神韻芸術祭東京公演が12日夜、東京新宿の厚生年金会館で封切られた。舞台の演目では、大陸中原の宮廷舞踊に端を発するものだけでなく、満州族やモンゴル族など少数民族の舞踊も披露され、その西洋のバレーでもない、国内の日本舞踊でもない独特のバリエーション溢れる動きに、初めて見る日本の観衆は目を奪われた。
長い悠久の歴史を有する中国は、その中原文化を唐朝時期に大輪の花として完成させた。特に、宮廷舞踊に関しては、漢民族独自のものだけでなく、周辺のインドから仏教の伝来とともに伝わった宗教芸術、新疆ウィグル自治区やチベットなど西域からのシルクロード系、モンゴル騎馬民族の躍動感などを巧みに取り入れながら、当時の玄宗皇帝がこれの発達に積極的に尽力した。
演目中の舞踊でまず目に付くのが、その激しく回転する技だろう。氷上の舞台でもないのに、まるでアイススケートのようにクルクルと回転するのが観ていて非常に鮮烈だが、この発祥は遠く1200年前の宮廷舞踊《康国楽》胡旋舞と称されるものに端を発するものだ。この「胡」という文字は、当時の中原からみた西の最果ての地、現在の新疆ウィグル自治区のあたりを指す。
次に注目されるのが、男性舞踊家だけでなく、特に女性舞踊家も頻繁に見せる高く跳躍する技だ。この跳躍そのものは、西洋のバレーのそれでもなく、はたまたスポーツ選手がやるそれでもなく、芸術性を備えた最高到達点の高いもので、日頃の弛まない鍛錬からの強い筋力がなければ実現しえないものだ。この舞踊は、健舞いわゆる武術に端を発するもので、基本的な動作は実に激しいものだ。
こういった文化的な相違点からして、12日の公演に駆け付けた観客の一人、野口孝之さんは以下のようにコメントしている。 「中国文化には、カンフー映画の影響もあるのか、そのまろやかな動きやゆったりとした旋律の音楽には、個人的には親しみを感じている。舞踊を観ているうちに、自然と(脱北者の人道支援活動で)南寧で中国公安に拘束されたことが思いだされた」。
野口さんは、現在国内の北朝鮮脱北者を人権面で支援するNGO組織「北朝鮮難民救援基金」で活動している人権活動家だ。かつて、脱北者を中国東北部から中越国境地帯にまで移送している途中で、国境付近の都市「南寧」で中国当局に拘束され、8か月間を不法に勾留された経験を持つ。
さらに野口さんは続けて、「この舞台の舞踊は、西洋のバレーでもなく、国内の日本舞踊でもなく、まったく違ったものだ。素晴らしい。文化的なことを言わせてもらえば、朝鮮半島と中国大陸とは接近しているのにもかかわらず、南北朝鮮は漢字を放棄してしまい、かえって海をひとつ隔てた日本に漢字が残ったのが面白い。この比較的安全な地にいる日本人が将来何をできるのか?今晩は招いてくれてどうもありがとう」と述べた。
大陸は、60年代の後半から毛沢東による文化大革命の嵐に巻き込まれ、唐朝以来の多くの文化的遺産や伝統的な思想が破壊され喪失してしまった。こういった大陸の伝統文化が、党文化のプロパガンダ的影響を一切受けずに、さらに純粋な形で自由主義圏の日本で開花し観られることは、遣唐使以来の因縁であり、先祖の余徳とその余慶に感謝すべきだという感慨に浸っているのは余人ばかりではないだろう。
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