時代と民族を超える輪廻の旅(2)

輪廻と言えば、おそらく多くの人が、仏教の中の六道輪廻の説を連想するだろう。人の本当の生命である魂は、天上、地上、地下という3つの異なる空間の異なる物質と生命の間で転生するというものだ。実は、中国では、この輪廻という考え方は、佛家ばかりでなく、道家の文化でも説かれてきた。皆さんも「鉄の杵を研いで針にする」という話を聞いたことがあるだろう。その中の主人公である修道者「真武大帝」は、輪廻を繰り返しながら何世も修行したそうである。毎回一念の差で人間の心が動いてしまったため、それまでの修行が無駄となり、再度転生して修行をやりなおさざるを得なかった。この「鉄の杵を研いで針にする」という話は、彼が正に円満成就せんとした前夜に起きたことであった。

 転生の考え方は、古典文学作品の中でもしばしば見られる。例えば、『紅楼夢』では、冒頭で、賈宝玉の前世が「七彩石」、林薫玉が「絳珠仙草」であり、甘露の恵みに報いるために、賈宝玉と今世で縁を結んだと語られている。

 また、民間では、輪廻に関する故事は更に多く、正史に記録されたものもある。例えば、『晋書、列伝第四』には、西晋の著名な戦略家であり文学者の羊祐が、隣家の李氏の息子であったと記載されている。羊祐が5歳の時、ある日突然、乳母に、自分が遊んでいた玩具である金還を探し出すように言いつけた。乳母が、「あなたは元々そんなものを持っていない」と言うと、羊祐は乳母に、隣の李家の桑の樹のそばを探すように言い、果たしてそこから金還が見つかった。李家の主人は非常に訝しがり、「これは亡くなった息子のなくしたものだが、あなたはどうしてそれを持ちだそうとするのか?」と問いただしたところ、乳母が詳細を告げ、主人は驚き嘆くことしきりであった。当時の人々はみな、この事に深く感じ入り、羊祐が隣の李氏のなくなった息子であると信じざるをえなかった。

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