【大紀元日本12月28日】
迷うが故に三界に城
悟るが故に十方は空
本来東西無く
何処にか南北あり
迷うからこそ、三界は城壁のある、幻のお城です。悟れば上と下、八方を合わせた十方世界は、伽藍の光り輝くお空です。伽藍のお空の本来は「東も西も、南も北」もなく、御仏の無分別の知恵が、あらゆる方向に降り注いでいます。
「お遍路さん!」と呼ばれる人たちがいます。平安時代から、その姿がちらほら見られます。お坊さんが悟りを求めて、山野を歩いた難所の道が始まりです。やがてぐるりと、四国の海岸線を一周する、約1400キロのルートが完成します。
お遍路さんは、四国八十八カ所を巡ります。なぜ八十八カ所?になったのか、分かっていません。空海(お大師さん)が42歳の時に、八十八カ所のルートを開いたと伝えられています。なぜ四国で?お遍路さんが盛んになったのか、謎です。江戸時代の半ばぐらいから、庶民の巡礼が次第にブームになります。江戸時代に裕福になった商人が、お遍路さんに参加して拡大します。やがて四国のお遍路さんが、日本全国の巡礼ルートの代表となってゆきます
なぜ人々がお遍路さんになったのか?理由は時代に応じて、色々あったようです。乞食お遍路から、病気お遍路、懺悔お遍路まで、それぞれの時代に流行がありました。現代では不登校児のお遍路さんが、自分探しの旅に出かけます。ストレス癒しのお遍路さんも、多くなってきました。歩きお遍路から、自転車お遍路、バスツアーお遍路までメニューがそろっています。
お遍路さんの現代的な再発見が、四国文化興しのキーポイントです。申請締め切りの11月30日、「四国八十八カ所霊場と遍路道」を世界文化遺産候補に!という四国四県の共同提案が、文化庁に出されました。愛媛県松山市天山に2000年9月、「四国へんろ道文化」世界遺産化の会が設立され、登録活動に向け準備がなされてきました。同会の呼びかけ文を紹介します。
みんなで目指そう!世界遺産への登録
「1200年にわたって受け継がれる『四国へんろ道文化』は、世界に類をみない『循環型巡礼の道』であるとともに、『共に生きる』社会への道筋を示す貴重な平和的シンボルです。私たちは21世紀における多様な共存、共生への道筋として、この『四国へんろ道文化』を世界文化に登録すべく活動しています」
愛媛県商工会議所女性会連合会主催「世界遺産化」講演研修会(12月12日、第58番札所・仙遊寺にて)
足並みがそろった四国四県「共同提案」のニュースは、愛媛新聞、徳島新聞などが取り上げ、地元から世界に向けて「お遍路さん」の文化を発信すべく、静かな盛り上がりをみせています。
(つづく)
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