脊柱の健康を損なう座り方に気づくことが、正しい座り方を身につける第一歩です。

首と背中の痛みにつながる4つの日常的な姿勢

ソファに腰を下ろし、片脚を折りたたんで体の下に入れ、スマホに目を落とします。30分もすると、首がこわばってきます。デスクでは無意識のうちに脚を組み、立ち上がると腰に痛みが走ります。

姿勢そのものが必ずしも悪いわけではありません。問題になりやすいのは、体が「動きたい」とサインを出し始めても、同じ姿勢を続けてしまうことです。

台湾の潤生復健科診所の王竣平院長はエポックタイムズの取材に対し、不快な姿勢を長時間続けると筋肉や靭帯に負担がかかると説明しました。王院長は、こわばりを感じ始めるタイミングに気を配り、こまめに姿勢を変え、簡単な運動で筋力をつけるよう勧めています。
 

よくある4つの悪い姿勢

王医師は、痛みなどの不調を招きやすい姿勢として、次の4つを挙げました。

1. 片脚組み

椅子に座って膝から脚を組むと、片脚に大きな負担がかかり、神経や脊柱が圧迫されます。続けるうちに腰痛や骨盤のゆがみが生じるほか、腹部も圧迫され、消化不良や便秘、血行不良を招くことがあります。

2. あぐら座り

両脚を組んで座ると、上半身が自然と前に傾いて猫背になりやすく、股関節や膝の軟骨に負担がかかります。長時間続けると腰椎にも強い圧力がかかり、腰痛や脚のしびれにつながるおそれがあります。

3. 斜め寝

ソファで足を上げるなど、体を斜めにして寝ると、腰椎と頸椎が支えられず、不自然に曲がったり、宙に浮いたりします。続けると首や股関節への負担が増し、椎間板ヘルニアや筋肉・靭帯の損傷を招くことがあります。

4. うつ伏せ寝

うつ伏せで本を読むと、脊柱に強い圧力がかかり、首や背中に負担がかかります。長時間続けると、首のこわばりや肩の痛み、手のしびれが出ることがあります。

このほか、椅子が高すぎたり机が低すぎたりすると、首や肩に余計な負担がかかり、頭痛や肩のこわばりの原因になります。
 

日常の予防と改善

日常の習慣を見直せば、脊柱を痛めるリスクを大きく減らせると、王医師は述べています。具体的なポイントは次のとおりです。

  • 自然な湾曲を維持する:長時間座りっぱなしにならないよう、同じ姿勢を続けるのは避けましょう。腰をしっかり支えてくれる、人間工学に基づいた椅子やクッションを選ぶのも有効です。
     
  • 適切なデスクと椅子の高さを使用する:座るときは足裏を床につけ、膝を約90度に曲げ、肘は力を抜いて体の脇に置きます。首や肩に余計な力が入るのを防げます。
     
  • 過度の負担を避ける:重い物を持ち上げるときは姿勢を正し、急にひねったり深く曲げたりしないようにして、腰を痛めるリスクを下げましょう。
     
  • 体重をコントロールする:体重が増えると、脊柱への負担も増します。バランスの良い食事と定期的な運動で適正体重を保つことは、腰痛の予防・改善につながります。
     
  • 温湿布と冷湿布:急性の炎症で痛むときは、冷湿布が痛みを和らげます。慢性的なこわばりには、血行を促して筋肉をほぐす温湿布がおすすめです。
     

体幹トレーニングで脊柱を強化

体幹の筋肉は、脊柱を支える天然の「腰のサポートベルト」で、かかる負担の多くを分散してくれると、王医師は説明します。次の3つは、毎日5~10分、器具なしで自宅でできる簡単な運動です。

1. ブリッジポーズ

ブリッジポーズは、大殿筋、ハムストリングス、体幹を鍛え、骨盤を安定させて腰椎への負担を軽くします。

手順:平らな床に仰向けになって膝を立て、足裏を床につけ、手のひらを下に向けて置きます。息を吸い、吐きながら足で床を押し、腰をできるだけ高く持ち上げます。数呼吸キープしてから、ゆっくり下ろします。

2. プランクポーズ

プランクポーズは、体幹を鍛えて脊柱を安定させ、腰椎の負担を減らすとともに、姿勢の改善にも役立ちます。

手順:四つん這いから、片脚ずつ後ろへ大きく伸ばします。つま先を床につけ、かかとを後ろへ押し出して、体幹に力を入れたままポーズを保ちます。数呼吸キープしたら、ゆっくりポーズを解きます。

3. バードドッグ

バードドッグは、体幹と背中を安定させる筋肉を鍛え、脊柱を安定させて腰椎の負担を減らします。

手順:四つん這いになり、体幹に力を入れて、片脚を床と平行になるよう後ろへ伸ばします。体が安定したら、反対側の腕を前へ伸ばします。頭は脊柱と一直線に保ちます。数呼吸キープしたら、左右を入れ替えて繰り返します。
 

こまめに動くことの大切さ

体幹トレーニングに加え、日常のこまめな動きも同じくらい大切です。30〜60分ほど座り続けると、脊柱にかかる圧力は大きく高まります。王医師は、立ち上がって歩き回ったり、2〜3分体を伸ばしたりして、筋肉をほぐし、血行を促し、痛みやしびれを和らげるよう勧めています。

臨床の現場では、軽い痛みを放置して悪化させ、リハビリや治療が必要になる患者さんが少なくありません。反対に、早めに生活習慣を見直した人は、多くの場合、悪化を防げるうえ、仕事の効率も大きく向上します。
 

中医学のアプローチ:ツボの活用

姿勢の見直しや体幹トレーニングに加え、中医学のツボ押しを取り入れると、痛みへの対処がより総合的になり、体全体の健康改善にもつながります。

台湾・翰医堂中医クリニックの中医師、陳信宏氏はエポックタイムズの取材に応じ、首や腰の不調に対するアドバイスを語りました。

首のこわばりの緩和

首や肩が張っているときは、肩井、天宗、膏肓のツボをマッサージするか、お灸をすると、筋肉がほぐれます。

  • 肩井(けんせい)のツボ:大椎(だいつい:首の付け根で最も出っ張っている骨)と肩峰(肩の外側の出っ張った骨)を結んだ線の中点にあります。
  • 天宗(てんそう)のツボ:肩甲骨の中央のくぼみにあります。
  • 膏肓(こうこう)のツボ:第4胸椎の棘突起の下で、左右にそれぞれ指4本分外側、肩甲骨の内側のくぼみにあります。

腰痛の緩和

腰痛は、腰まわりのツボを刺激することで和らげられます。

  • 腰兪(ようゆ)のツボ:仙骨裂孔にあります。
     
  • 大腸兪(だいちょうゆ)のツボ:第4腰椎の棘突起の下で、正中線から外側へ指2本分の位置です。
  • 委中(いちゅう)のツボ:膝裏のくぼみの中央にあります。

不快感が繰り返し出る場合は、いつ起こるのかに注目してみましょう。座り方を変える、少し歩く、数分間筋トレをするといった工夫が役立つかもしれません。痛みが続く、あるいは悪化する場合、とくにしびれや脱力感が強まる場合は、医療機関を受診してください。

 

(翻訳編集 日比野真吾)

Ellen Wan
2007年から大紀元日本版に勤務しており、時事から健康分野まで幅広く携わっている。現在、記者として、新型コロナウイルスやコロナワクチン、コロナ後遺症、栄養学、慢性疾患、生活習慣病などを執筆。