なぜ人間関係において正直であることが重要なのか

「ねえ、私、体重を減らしたほうがいいと思う?」

この質問は一見シンプルで、もしかすると軽い雑談のようにも聞こえます。しかし、恋愛関係の文脈では、まるで地雷のように感じられることがあります。一言でも間違えれば、相手を傷つけたり、防衛的な態度を引き出したり、衝突に発展したりしかねません。

しかし、正直さこそが強い関係の土台であるはずではないでしょうか。正直でいることが危険に感じられるとき、私たちはより深い問いを検討せざるを得なくなります。正直さは絆を築くのでしょうか。それとも、壊してしまうのでしょうか。
 

正直さの重要性

学術誌『社会心理学および人格科学』に掲載された研究では、特に「個人的な変化」に関する難しい会話の場面において、正直さが恋愛関係にどのような影響を与えるのかが調査されました。

200組以上のカップルが、実験室という環境でリアルタイムの会話を行う様子が観察されました。これらは抽象的な議論ではなく、実際にリビングルームや寝室で交わされるような会話でした。たとえば、「スマートフォンを見る時間を減らしてほしい」「もっと愛情を示してほしい」「健康をもっと真剣に考えてほしい」といった、心拍数が上がるような内容です。

研究者たちは正直さを2つの方法で測定しました。1つは、当事者であるパートナー同士が、自分自身や相手についてどれほど正直だと感じたかという主観的評価、もう1つは、会話を観察した訓練を受けた第三者から見て、どれほど正直に見えたかという客観的評価です。その後、3か月後に追跡調査を行い、時間の経過による変化を確認しました。

即時的な結果は、難しい話し合いを経験したことのある人なら驚かないかもしれません。正直な瞬間は痛みを伴います。参加者がパートナーに変わってほしい点を伝えたり、逆に相手から変化を求められたりすると、気分が明確に落ち込みました。会話は感情的に非常に負荷の高いものでした。

しかし、こうした不快なやり取りの後、カップルの関係満足度は大きく向上しました。その要因となったのは、表現された正直さと、相手から感じ取られた正直さの両方でした。短期的な不快感は、「本当の自分を理解され、受け入れられている」という感覚へと変わっていったのです。

さらに3か月後、正直でいられたと感じた人ほど気分が良くなり、自分が求めた変化に向けて、パートナーがより前進したと感じていました。

注目すべき点は、パートナー同士の「正直さの認識」が必ずしも完全に一致していなくても、こうした恩恵が現れたことです。重要だったのは正確な一致ではなく、「正直だと感じられたかどうか」でした。

これらの結果は、特に困難な場面において正直であろうと努力することが、配慮を伴って行われる限り、人間関係を強化し得ることを示しています。ただし注意点として、この研究は比較的健全な関係にあるカップルを対象にしており、深刻に悪化した関係でも同様の効果が得られるかどうかは、今後の課題として残されています。
 

正直さの同調性

2023年の研究では、恋愛関係にあるカップルは、共同作業中に他人同士よりも強い「脳と脳の同期」を示すことが明らかになりました。

脳と脳の同期とは、簡単に言うと、人々の脳が同調して働き、反応がより揃い、感情処理が似たリズムで行われる状態のことです。

さらにこの研究では、恋愛関係にあるカップルは、他人と接する場合に比べて、相手を欺いたり嘘をついたりする可能性が低いことも示されました。これは、神経的な同調が、親密な関係における正直さを促進することを示唆しています。

また、親密な関係にある人々は、正直さや率直さに関する価値観をパートナーと共有していると認識しやすく、こうした共有された価値観が、より強くしなやかな感情的な絆につながることも分かっています。

プロフェッショナル・カウンセラーのエマ・コビル氏はエポックタイムズに対し、正直さは「愛着、思いやり、そして脆弱性(自分の弱さをさらけ出すこと)に根ざしているときに最も効果的です」と語りました。特に、相手を批判したりコントロールしたりするのではなく、感情的なつながりを保つことが目的である場合に重要だといいます。

つまり、正直さは単に事実を伝えるだけではありません。それは、長く続く関係のための神経的・感情的な土台を築く役割も果たすのです。
 

正直さのパラドックス

では、正直さが残酷に感じられる場合はどうでしょうか。

いわゆる「ホワイトライ(罪のない嘘)」は、感情的なつながりにおいて微妙な課題をもたらします。

2014年の研究では、恋愛関係におけるホワイトライや善意の欺きについて、男女の意識が調査されました。その結果、人は「嘘をつくこと」よりも「嘘をつかれること」に不快感を覚えやすく、また男性のほうが女性よりも、こうした欺きを受け入れやすい傾向があることが分かりました。

ホワイトライの魅力は明白です。コビル氏によると、ホワイトライは時として関係を守る役割を果たすことがあり、こうした柔らかな嘘は、相手を欺くためではなく、調和を保ち、不必要な痛みを避けるために使われることがあります。

しかし彼女は、「たとえ小さな嘘であっても、文脈の中で評価されるべきです」と警告します。「脆弱性の代わりに回避が習慣化すると、感情的な距離が生まれ、やがて不満や恨みにつながる可能性があります」

善意からの欺きであっても、それが常態化すると、親密さを可能にしている信頼、コミュニケーション、そして開放性そのものを蝕んでしまうのです。

結婚・家族セラピストであり、デーティングおよび人間関係の専門家であるマリサ・T・コーエン氏は、エポックタイムズに対し、ホワイトライを受け入れられるカップルもいれば、完全な正直さを求めるカップルもいると述べました。

彼女は、交際中の段階でホワイトライについて率直に話し合うことを勧めています。そうすることで、お互いの価値観や考え方をより深く理解できるからです。
 

愛をもって正直さを育む

正直さは親密さを強めますが、その伝え方次第で、つながりを築くことも、対立を招くこともあります。

コーエン氏は、共感と思いやりをもって伝えられる正直さは、難しい会話を乗り越えるための「最も親切で健全なアプローチ」になり得ると述べています。相手がどう受け取るかを考え、思いやりのある形で情報を共有する姿勢が重要だと強調しました。

認定コンシャス・ペアレンティング・コーチ(意識的な子育ての指導者)のブランカ・モルナー氏は、エポックタイムズに対し、難しい感情を表現する際には「Iメッセージ(自分を主語にした表現)」が有効だと語りました。「あなたはいつも〜する」ではなく、「私は〜のときに傷つきます」と言うことで、相手を責めることなく自分の視点を伝えられます。これは、非難から脆弱性へと会話の軸を移し、抵抗ではなく共感への扉を開きます。

もう一つ重要なのが、タイミングと環境です。専門家たちは、難しい話題ほど慎重に扱うべきだと指摘します。相手がストレスを感じていたり、気が散っていたり、感情的に高ぶっているときに切り出すと、逆効果になる可能性があります。落ち着いた私的な空間で、双方が感情的に余裕のあるタイミングを選ぶことが理想的です。

モルナー氏は、自分自身の「引き金」に注意を払うことも勧めています。緊張したり、防衛的になったり、過剰に反応したりする瞬間に気づくことです。

「それらは、境界線が侵されたり、過去の傷が刺激されたりしているサインであることが多いのです」と彼女は言います。「それに気づくことで、衝動的に反応するのではなく、意識的で誠実な対応ができるようになります」

正直なフィードバックを伝える際には、批判ではなく、建設的であることを心がけましょう。

同じくらい重要なのが、聞き手としての役割です。相手があなたのフィードバックに応答するときに、積極的に耳を傾けることで、相手は徐々に緊張を解き、どんなに受け入れがたい真実であっても、消化しやすくなります。

マインドフルネスに基づくセラピーを専門とするコビル氏は、正直さを「感情をぶつけるためのハンマー」のように使うのではなく、「つながりと修復を促す橋」として使うよう、カップルに助言しています。

「難しい会話は、相手を責めるのではなく、自分の内面世界に招き入れるつもりで臨んでください」と彼女は言います。「あなたたちは同じチームなのだということを忘れないでください」

(翻訳編集 井田千景)

健康記者として活動しており、バイオテクノロジーの修士号と生物学・化学の学士号を取得している。11年間にわたり生命科学を教えた後、7年間にわたりEpoch Inspiredの編集者を務めた。現在は健康、ウェルネス、伝統的価値観に関するテーマに注力している。
生物医学科学の理学士号と人文科学の修士号を持つ健康分野のライター。メリーランド大学で生物医学研究に従事し、NASAのデータ分析プロジェクトに参加したほか、ハーバード大学ギリシャ研究センターの客員研究員も務める。健康ジャーナリズムでは、綿密な調査をもとにした洞察を提供することを目指している。
健康記事を担当するエポックタイムズ記者。