近年、多くの研究で、認知症患者の脳では解毒能力が損なわれ、マイクロプラスチック(5mm未満の微小プラスチック粒子)、重金属、「永遠の化学物質」(分解しにくい合成化学物質)などの有害物質が蓄積しやすいことがわかってきました。これらの毒素の蓄積は、脳組織を損傷し、神経機能を乱すことで、認知機能低下を加速させる可能性があると考えられています。
したがって、体の解毒プロセスをサポートすることは、脳の健康維持において重要です。
認知症患者の脳における毒素蓄積
2月に『Nature Medicine』に掲載された研究では、2019年から2024年に死亡したニューメキシコ州の認知症患者の脳組織サンプルが分析されました。研究者たちは、脳組織1gあたり平均26,076mgのマイクロプラスチックが検出され、1997年から2013年にアメリカ東部で採取されたサンプルのレベルより20倍以上高いことを発見しました。
マイクロプラスチックは直径5mm未満のプラスチック粒子です。2019年の研究では、平均的な人が週に最大2,000個のプラスチック粒子を摂取し、その量は約5g(クレジットカード1枚分の重さに相当)になると推定されています。
この研究では、プラスチックへの暴露と認知症との直接的な因果関係は証明されていませんが、認知症の脳では、萎縮、血脳関門(脳を保護するバリア)の弱化、異物除去能力の低下が見られます。これらの要因が、マイクロプラスチックの蓄積を増加させている可能性があります。
研究者たちは、脳内のマイクロプラスチックやナノプラスチックが毛細血管の血流を阻害し、神経信号を乱し、認知症関連タンパク質の凝集を促進する可能性があると指摘しました。
マイクロプラスチック以外にも懸念すべき物質があります。2022年の研究では、アルツハイマー病患者の脳脊髄液において、ヒ素や水銀などの重金属レベルが上昇していることが報告されました。特に、アルツハイマー関連タンパク質バイオマーカーの高濃度が、重金属の高いレベルと関連していることが示されています。これらの金属や金属イオンの不均衡な蓄積は、血脳関門を損傷し、炎症を引き起こし、場合によっては神経細胞の損傷や死を招く可能性があります。
別の研究では、認知症患者の脳脊髄液中に、合成化学物質であるパーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS、分解しにくく環境や体内に蓄積しやすい化学物質)の濃度が、一般人口より高いことが示されました。これらはノンスティック調理器具や防水繊維などに使用され、分解されにくく蓄積しやすいため、「永遠の化学物質」と呼ばれています。
脳の自然解毒プロセスをサポート
健康な人では、脳は脳脊髄液を通じて毒素を除去し、それらは尿や便、その他の経路を通じて体外へ排出されます。
マイクロプラスチックの除去能力を高めるための、3つの主要な戦略があります。
1. 十分な睡眠を確保
脳にはグリンパティックシステムがあり、これは睡眠中に最も活発に働きます。
今年『Cell』に掲載された研究では、睡眠中に脳の血管がリズミカルに収縮し、グリンパティックシステムが活性化されることが示されました。これにより脳脊髄液の流れが増え、老廃物の除去が促されますが、睡眠薬による睡眠では、この自然な除去プロセスが抑制される可能性があります。
睡眠不足や質の低い睡眠は脳の健康を損ない、認知症リスクを高める可能性があります。
2. 特定の経絡をマッサージ
中医学では、脳脊髄液は督脈(背骨に沿う経絡)のエネルギーシステムの一部と考えられています。就寝前に頭部や首の特定のツボをマッサージすることで、このシステムが活性化され、脳脊髄液の流れが促され、睡眠の質が向上する可能性があります。
方法:
就寝前に、眉間の中央から始め、頭頂部を通って首の後ろまで、櫛で優しく梳かします。これを15~20回繰り返します。
3. 活動的でいる
十分な睡眠に加え、継続的な身体活動も、脳の自然な解毒プロセスをサポートします。
4月に『Nature Communications』に掲載された研究では、長期的な運動が脳のグリンパティックシステムと髄膜リンパ管(脳の廃棄物除去経路)の流れを強化することが示されました。
単発運動群と比較して、週3回・30分の運動を12週間続けた長期運動群では、脳の老廃物除去が有意に高まり、炎症関連タンパク質が減少し、免疫機能に関わるタンパク質が増加しました。
これらの戦略は脳に直接働きかけるものですが、毒素が脳に到達するのを防ぐためには、体の他の解毒システムも同様に重要です。
マイクロプラスチックに対する体の防御をサポート
マイクロプラスチックが脳に到達するのを防ぐには、体全体の解毒システムを強化することが重要です。
最初のステップは健康な排便を維持することで、その次に、中医学で解毒の中心とされる肝臓と腎臓をサポートします。
1. 腸内解毒のためのプロバイオティクス
プロバイオティクスサプリメントの摂取や果物・野菜の摂取は、消化機能をサポートし、定期的な排便を促し、腸でのマイクロプラスチック吸収を抑えるのに役立ちます。1月に掲載された動物実験では、ラクトバチルス・プランタルムの一部の菌株がマイクロプラスチックに結合し、消化管からの排出を30%以上増加させたことが示されました。
特定のプロバイオティクスを多く含む食品も有益です。ラクチカゼイバチルス・パラカセイはヨーグルトやケフィアに、ラクトバチルス・プランタルムは味噌、納豆、キムチ、ザワークラウト、漬物キュウリ、オリーブなどに含まれます。
ドラゴンフルーツ、白キクラゲ、黒キクラゲなどの高繊維食品は腸の蠕動を促進し、便秘の緩和に役立ちます。
また、ビタミンやクルクミン、フラボノイド、ケルセチン、硫黄化合物などの植物化学物質の摂取を増やすことで、解毒プロセスのサポートが期待されます。これらの多くはアブラナ科野菜に豊富に含まれます。
横隔膜呼吸(腹式呼吸)も、腹部に深く空気を取り込み、腸の蠕動を刺激することで、便秘の緩和に役立ちます。
2. 腎臓解毒のための水分摂取
腎機能をサポートすることで、尿を通じたマイクロプラスチックの排出が促されます。十分な水分補給、腎臓に良いとされる食品の摂取、足湯は、腎臓が本来の機能を発揮する助けになります。
体重約50kgの人の場合、1日最低50液量オンス(約1.5L)、暖かい気候では最低約2Lの水分摂取が目安とされています。朝・正午・夕方に数杯ずつ水を飲むことで、無理なく安定した水分補給ができます。
中医学では、黒い色の食品が腎臓を養うとされ、黒豆や黒ごまが代表的です。また、白い山芋も腎臓に良いと考えられています。
中医学の腎経(腎臓機能に関連する経絡)は、湧泉のツボ(足の裏のつま先側から3分の1の位置)から始まります。定期的な足湯とこのツボのマッサージは、腎臓の健康をサポートし、解毒プロセスを助けるとされています。

3. 肝臓解毒のための食事と睡眠
肝臓は体内に入った毒素を処理しますが、表面に毒性化学物質を運ぶマイクロプラスチックによって、その負担が増す可能性があります。
健康的な食事と十分な睡眠は、肝臓の自然な解毒プロセスを支えます。
肝臓の解毒をサポートする主要な栄養素には、グルタチオン、セレン、亜鉛、Bビタミン、カテキンなどがあります。これらは、アーティチョーク、ウコン、クコの実など、肝臓に良いとされる食品に含まれています。
アーティチョークについては、肝疾患患者における肝臓サポート効果が研究されており、ランダム化比較試験で肝保護作用が確認されています。非アルコール性脂肪肝の改善にも役立つ可能性があります。
研究では、ウコンに含まれる活性成分クルクミンが抗酸化能力を高め、肝損傷を防ぐ可能性が示されています。また、クコの実に含まれるナガバクコ多糖類は、肝機能の保護や炎症の低減に関与すると考えられています。
中医学では、午後11時から午前3時が肝胆経のエネルギーが最も高まる時間帯とされます。午後11時前に就寝することで、肝臓の自然な修復や再生プロセスをサポートできると考えられています。
4. 皮膚解毒のための発汗
発汗は皮膚を通じた主要な解毒経路の一つです。運動、入浴、サウナなどは発汗を促し、皮膚からの毒素排出をサポートします。
2023年のレビューでは、特定のマイクロプラスチックが皮膚に付着し、可塑剤を体内に運び、他の毒性物質と結合することで、皮膚からの吸収を高める可能性が示されました。このリスクを減らすためには、天然素材の下着や肌に密着する衣類を選び、合成繊維がマイクロプラスチックを放出するのをできるだけ避けることが推奨されます。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。エポックヘルスは、専門家による議論や友好的な討論を歓迎します。
(翻訳編集 日比野真吾)
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