88歳のイーディスさんと94歳のヘンリーさんは、ずっと自立を大切にしてきました。そして、食べ物の選択が健康的なライフスタイルを形作ることを理解していました。しかし最近では、動作がゆっくりになり、食料品の価格が高騰するなかで、以前は好んでいた有機野菜でさえ「切るのが面倒」と感じ、避けるようになっていました。
そんな二人の生活を変えたのは、身近な人からのシンプルなアドバイスでした。「冷凍庫に果物や野菜を常備すると、健康的な食生活が続けやすい」というものでした。
栄養価を保つ
研究によって、多くの人が気づいていない事実が裏付けられています。冷凍食品は新鮮なものと同じくらい、場合によってはそれ以上に栄養価が高いのです。2017年に『Journal of Food Composition and Analysis(食品組成と分析ジャーナル)』に掲載された2年間の研究によれば、冷蔵保存は時間とともにビタミン量を減少させますが、冷凍保存は食品をより栄養価の高い状態に保ちます。
急速冷凍は、食材が最も熟した瞬間にビタミン、ミネラル、抗酸化物質を閉じ込めます。輸送や保存で数日経過した「新鮮な」野菜よりも、むしろ栄養価を多く保持できる場合があります。急速冷凍とは、液体窒素やブラスト冷凍(超低温冷風で一気に凍らせる方法)を使って素早く凍結する方法で、大きな氷結晶の形成を防ぎ、食品の構造を守って栄養と食感を保持します。
カリフォルニア大学デービス校の研究で、『Journal of Agricultural and Food Chemistry(農業・食品化学ジャーナル)』に発表された内容によると、ブルーベリー、イチゴ、ブロッコリー、ホウレンソウ、インゲン、エンドウ豆、ニンジンといった冷凍の基本食材は、しばしば新鮮なものと同等、あるいはそれ以上に栄養価が高いことがわかりました。特にビタミンCやEは、熟した瞬間に急速冷凍されるため、冷凍食品の方が高い値を示すことが多いのです。
冷凍に適した食品の例:
- ベリー類(ブルーベリー、イチゴ、ブラックベリー):スムージー、オートミール、デザートに最適。
- 葉物野菜(ケール、ホウレンソウ):抗酸化物質やビタミンが豊富で、炒め物、スープ、オムレツにおすすめ。
- インゲンやブロッコリー:栄養豊富で風味も良く、炒め物、グラタン、付け合わせに便利。
その他の利点
有機冷凍野菜(ケール、ホウレンソウ、ブロッコリー、ベリー類など)は、下ごしらえの手間を省き、食品廃棄も減らします。冷凍庫にこうした基本食材を常備しておけば、数分で栄養満点の料理を作ることができます。
冷凍食品にはさらに次のような利点があります。
- 廃棄が減る:忘れて腐らせる心配が少ない。
- 利便性:すでに洗浄・カット済みで、そのまま調理可能。
- 時間短縮:皮をむいたり切ったりせずに料理に投入できる。
2017年に『British Food Journal(英国食品ジャーナル)』に発表された研究では、冷凍食品は保存期間を延ばし、家庭の食品廃棄を大幅に削減することが示されました。この研究によると、冷凍食品を活用すると、家庭内の食品廃棄量は生鮮食品に比べて47%少なくなるとのことです。食品保存、特に冷凍は、廃棄削減や持続可能性の観点から非常に重要だと論じられています。
冷凍庫を活用した実用的な食生活の工夫
冷凍庫を最大限に活用する最も簡単な方法のひとつは、作り置きです。有機の冷凍ケールやミックス野菜をスープ、リゾット、チリに加えれば、数分で解凍・調理でき、時間と労力を節約できます。
冷凍野菜を使えば、日常の付け合わせも手軽にグレードアップできます。有機の冷凍インゲンやブロッコリーをニンニクとオリーブオイルで炒めれば、栄養豊富で風味豊かな一品がすぐに完成します。
朝食やおやつ用には、有機冷凍ベリーを常備すると便利です。食物繊維や抗酸化物質が豊富で、すでに洗浄済みなので、スムージーにそのまま入れることができます。
有機食品を選ぶべきポイント
環境ワーキンググループが発表した2025年の「ダーティ・ダズン:残留農薬が最も多い12品目」には、ホウレンソウ、イチゴ、ケール、ブラックベリー、ブルーベリー、インゲン、ジャガイモなどが含まれます。これらは有機栽培のものを選ぶことで農薬曝露を減らすことができ、冷凍食品として購入すれば栄養を最大限確保し、年間を通して入手できる賢い方法です。
一方で、環境ワーキンググループは毎年「クリーン・フィフティーン:残留農薬が少なく、慣行栽培でも比較的安全な15品目」も発表しています。エンドウ豆、アボカド、スイートコーン、ブロッコリー、キャベツなどが含まれ、これらは有機にこだわらなくても比較的安全です。
買い物をする際は、ダーティ・ダズンに該当する食品は有機の冷凍食品を優先して購入し、農薬曝露を減らしながら出費を抑えると良いでしょう。クリーン・フィフティーンや旬の野菜は慣行栽培を選んで節約し、その分を高品質のタンパク源(天然魚、有機オーツ麦、牧草飼育の牛ひき肉など)や地元の旬の特産品に充てるのも賢い方法です。
健康的な食事を実現するために、すべてを有機や生鮮にする必要はありません。大切なのは賢く選ぶことです。有機の冷凍食材を必要な分だけ常備し、手頃な慣行栽培の野菜も組み合わせ、冷凍庫を上手に活用することで、ストレスや食品廃棄を減らせます。
家庭に冷凍食品を常備する利点
- 年間を通じた栄養価の確保
- 食品廃棄の削減
- 下ごしらえの短縮
- 支出のコントロール
イーディスさんとヘンリーさんもこの冷凍戦略を取り入れ、栄養豊富で調理が簡単な食材を冷凍庫に詰めました。今では、手作りスープやベリーを添えた有機オートミールが再び食卓に並んでいます。家計に無理をかけることなく、ここ数年で最も多くの野菜や果物を食べられるようになり、以前より健康的で自信を持ち、キッチンの主導権を取り戻しました。
この記事で表明された見解は著者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。
(翻訳編集 井田千景)
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