肺がんは最もよく見られるがんの一つであり、多くの国で主要な死因となっています。肺がんは喫煙と関係がありますが、非喫煙者でも発症する可能性があります。よく知られている咳などの初期症状に加えて、手指の変化にも注目することで、重要なサインを見逃さないようにすることができます。
「ニューヨーク・ポスト」の報道によると、爪は健康状態の大切な指標になります。爪の色、形、質感の変化で、潜在的な健康異常の兆候があらわれることがあります。
アメリカ・ニューヨーク州で勤務する肺科および集中治療専門医のダヴード・ジョハリ医師は、特定の手指の変化が肺がんのサインとなる可能性があると指摘しています。それが「ばち状指」です。肺がん患者の約5%から15%にこのばち状指が現れることがあります。
著名な医療機関であるクリーブランド・クリニックによると、ばち状指は一般に治療が必要な健康異常の兆候であり、肺がんなども含まれます。ばち状指が現れると、爪が横に広がり、スポンジ状にふくらみ、逆さスプーンのような外観になります。
ばち状指は柔らかく温かく、丸く盛り上がる形をしていて、まるで逆さのスプーンのように見えます。この症状は手の一部またはすべての指に及ぶ可能性があり、通常は親指と人差し指から始まり、他の指へと広がります。

ばち状指が肺がんによって引き起こされる理由はまだ明らかではありませんが、腫瘍がホルモンに似た物質を分泌することで手指の血管が拡張し、その部位の血流が増加して、爪の下に液体がたまり、ばち状指を引き起こすのではないかと考えられています。
ばち状指は通常痛みを伴いません。これは肺がんが示す唯一の細かなサインではありませんが、ジョハリ医師は、もし次のような症状が数週間以上続く場合には、医療機関を受診するよう勧めています。
咳が長引く、声がかすれる等の変化がある、原因不明の体重減少、原因のわからない疲労感、安静時に感じた肩の痛みが夜間に悪化する、視力の変化やまぶたの垂れなどです。
肺がんの診断は、まず患者の病歴や生活歴の確認から始まり、次に身体検査や画像検査が行われます。そして、診断を確定するためには、組織の採取と分析が必要であり、必要に応じて実施されます。
肺がんはしばしば進行してから発見されることが多いため、早期発見がより良い治療効果につながるため、この検査は極めて重要です。
ばち状指は肺がんの進行期の症状である場合が多いですが、他の病気の兆候でもあります。ジョハリ医師によれば、慢性の肺感染症、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、気管支拡張症などもばち状指と関連があるとのことです。また、先天性の心疾患、消化器系の疾患、その他多くの潜在的な健康異常のサインでもあり得ます。

超加工食品は肺がんを引き起こすのか?
肺がんは一般的ながんの一つであり、世界保健機関(WHO)の推計によると、2022年には世界で新たに240万件の肺がん症例が報告されました。
喫煙は肺がん発症リスクの主要因ですが、非喫煙者でも肺がんにかかることがあります。これは、ほかの要因も関わっていることを示しています。
最近、医学誌『Thorax』に発表された研究で、超加工食品も肺がんを引き起こす可能性があると指摘しています。喫煙など他の要素を考慮に入れても、超加工食品を最も多く摂取している人は、最も少なく摂取している人に比べて肺がんと診断される確率が41%も高いという結果が出ました。
国際連合食糧農業機関(FAO)によれば、超加工食品とは「家庭の台所では使われない、あるいはほとんど使われない成分や、最終的な製品をより美味しく、また魅力的にするための添加物を含む食品」と定義されています。
こうした成分は炭酸飲料、ポテトチップス、インスタントスープ、チキンナゲット、アイスクリームなどに含まれており、防カビや抗菌のための保存料、人工着色料、分離を防ぐ乳化剤、さらに食欲をそそる糖分・塩分・脂肪などがあります。

では、なぜ超加工食品が発がんにつながるのでしょうか。非営利組織「トゥルー・ヘルス・イニシアチブ(True Health Initiative)」の創設者で予防医学の専門家であるデイビッド・カッツ氏は、超加工食品の摂取はしばしば食生活の質の低下と結びついていると説明しています。具体的には、飽和脂肪や化学物質、塩分、糖分が多く、カロリーも高い傾向があるということです。
これらの要因が体内の炎症を引き起こし、免疫系の機能を損ないます。その結果、「ならず者細胞」(正常な生理的制御から外れ、攻撃的または不安定に増殖する細胞)が増殖し、がんの発生につながるのです。
また、テキサス大学オースティン校の小児科学・人間栄養学・化学の教授であるトム・ブレンナ氏は、超加工食品にはしばしばオメガ3脂肪酸が欠けていると指摘します。オメガ3は人体で作ることができない必須脂肪酸であり、健康維持に不可欠です。
カッツ氏はさらに、人々が主に未加工の自然な食品や植物(野菜、果物、全粒穀物、豆類、レンズ豆、ナッツ、種子など)を食べるようにすれば、健康状態と食生活の質は改善し、肺がんの発症リスクも低下すると強調しています。
(翻訳編集 華山律)
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