胆のうの病気はアメリカで非常に一般的で、特に胆石症が多く見られます。胆石はさまざまな関連疾患を引き起こし、がんや死亡リスクも高まるため、胆のうの健康を維持することが重要です。日常の食事で適切な栄養素を摂ることで、胆石の予防が期待できます。
過去30年間でアメリカにおける胆石症の発症率は倍増し、現在では約10〜15%、推定2500万人が胆石に悩まされています。
胆のうは腹部右上、肝臓の真下に位置する消化器系の一部で、主に肝臓が分泌する胆汁を一時的に貯蔵し、食事の脂肪を分解する際に胆汁を放出する役割を担っています。胆汁には、コレステロールの結晶やビリルビンが含まれ、これが胆石の主な成分となります。
胆石は通常、症状がないことが多いですが、胆管が詰まると痛みや吐き気、炎症が生じることがあります。早期に治療しないと胆管炎や胆のう炎、胆石性膵炎、さらにはがんといった合併症につながる可能性があります。症状がある胆石には、胆のう摘出手術が一般的な治療法です。
2022年の研究によると、30年にわたる16万5千人を対象とした調査で、胆石症患者は肝臓がんや膵臓がんのリスクが高いことが分かりました。特に未治療で胆のう摘出手術も受けていない場合、胆道がんのリスクは非患者と比べて約5倍に増加するとの報告があります。
また、複数の研究によって、胆石症患者は心血管疾患やがんのリスクが増加し、総死亡率やこれら疾患による死亡率も高まることが示されています。
胆のうを守る6つの栄養素
バランスの良い食事は、胆石の予防に効果的です。以下は、日常の食事に取り入れたい、胆のうの健康維持に役立つ天然栄養素です。
1. 食物繊維
食物繊維は腸の健康を保つだけでなく、胆のう疾患のリスクも減らす効果が期待できます。特に、不溶性繊維は胆汁酸がスムーズに流れるようサポートし、コレステロールの蓄積を抑えて胆石形成のリスクを減らします。研究では、不溶性繊維の長期摂取が胆石リスクと胆のう摘出手術リスクの低下につながるとされています。全粒穀物(オーツ麦、玄米)、野菜、果物などを日常的に取り入れると良いでしょう。
2. オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は胆のうの炎症を抑え、胆汁の流れをスムーズにする働きがあり、胆石予防に役立ちます。しかし、多くの人は体内でオメガ3脂肪酸が不足しているため、摂取量を増やすことが推奨されています。研究によると、オメガ3脂肪酸が豊富な食事を摂ることで、胆石リスクが低下することがわかっています。サーモン、サバなどの脂肪分の多い魚はオメガ3脂肪酸が豊富なので、積極的に取り入れてみましょう。
3. マグネシウム
マグネシウムは胆のうの正常な収縮をサポートし、胆汁の流れを妨げないようにします。胆汁の流れが滞ると胆石ができやすくなるため、マグネシウムは胆石予防に重要な役割を果たします。ほうれん草、ナッツ、種子類などに多く含まれ、エネルギー向上や睡眠の質を高める効果もあります。食品で不足しがちな場合は、サプリメントで補うのも良い方法です。
4. ビタミンC
ビタミンCは、コレステロールを胆汁酸に変えて胆のう内でのコレステロールの蓄積を防ぐ働きがあります。動物実験や観察研究でも、ビタミンCを定期的に摂取することで胆石の予防に役立つことが示されています。そのため、ビタミンCは「胆石の破砕剤」とも呼ばれています。柑橘類、いちご、ピーマンなどビタミンCが豊富な食材を日々摂取することで、胆石のリスクを減らし、胆のうの健康維持に役立ちます。
5. レシチン
レシチンは、車の潤滑油のように胆汁中の脂肪を乳化し、固まって胆石になるのを防ぎます。また、胆汁の流動性を保ち、コレステロールの結石を抑える効果もあります。マウスを対象にした研究では、レシチンの成分であるホスファチジルコリンが胆のう内のコレステロール結石を減少させることが示されています。卵、大豆、ひまわりの種などレシチンを豊富に含む食材を日常的に摂ると、胆のうの健康維持に役立ちます。
6. 天然サプリメント「オオアザミ」
オオアザミは、肝臓と胆のうの健康をサポートするハーブとして人気があり、主要成分のシリマリンには抗酸化作用があります。研究では、シリマリンが胆汁の分泌を促し、胆石のリスク低減に役立つ可能性が示されています。自然に肝臓と胆のうの健康を保ちたい方には、オオアザミが良い選択肢です。
(翻訳編集 華山律)
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