心筋炎と心膜炎はコロナワクチン接種後にのみ発症、NHSのプレプリントが示す

オックスフォード大学の研究者らが主導した最近のプレプリント(査読前論文)によって、心筋炎と心膜炎はCOVID-19感染後には発生せず、ワクチン接種後にのみ発生することが示された。プレプリントでは、COVID-19ワクチン接種を受けた子供と受けていない子供の健康状態を比較した。

「まれではあるが、研究期間中の心筋炎と心膜炎の発症はすべて、ワクチン接種を受けた人に発生した」と著者らは記している。心筋炎や心膜炎による死亡者はいなかった。

この研究では、イギリスの5~11歳の小児および12~15歳の青少年100万人以上を評価した。ワクチン接種を受けた未成年者を同数のワクチン未接種者と比較し、1回接種者と2回接種者も比較した。

ワクチン接種を受けた青少年は心筋炎の可能性が高かったが、未接種の青少年に比べて、COVID-19の検査で陽性となる可能性や、COVID-19関連の入院や集中治療を必要とする可能性は大幅に低かった。しかし、ワクチン接種を受けた小児のCOVID-19感染と入院に関しては、未接種の小児との間に大きな違いはなかった。

さらに、「COVID-19関連の入院や集中治療の受診は、青少年と小児の両方でまれであり、COVID-19関連の死亡はなかった」と著者らは指摘している。

18件の症例

この研究では、イギリスのプライマリケア診療の40%をカバーする国民保健サービス(NHS)イングランドのOpenSAFELY-TPPデータベースのデータを分析した。

ワクチン接種を受けた青少年と小児を未接種の集団とマッチングさせ、20週間追跡調査して、COVID-19の陽性検査、入院、集中治療、有害事象、およびCOVID-19以外の入院を比較した。

データによると、心筋炎と心膜炎はワクチン接種を受けた人にのみ記録された。これらの結果は、COVID-19感染後の心筋炎の発生率が高いことを示した他の研究のデータと矛盾している。

ワクチン接種後の心筋炎と心膜炎の発生率は、青少年の方が小児よりも高かった。

ワクチン接種を受けた839,000人以上の小児と青少年のうち、心膜炎は15件、心筋炎は3件だった。心筋炎の全症例と12件の心膜炎が青少年の集団で発生した。

心膜炎3件を除き、他の症例はすべてワクチン初回接種後に発症した。心膜炎と心筋炎を発症した青少年の半数以上が入院または救急外来を受診した。心筋炎治療のための入院期間は最長1日だったが、重症治療を必要とした青年が何人いたかは不明だ。

心臓専門医のピーター・マッカロー博士は、エポックタイムズに対し、「感染率が1%未満であることを考えると、COVID-19ワクチン接種は子供にとって医学的に不必要であり、COVID-19の過剰な検査は資源の無駄だ。この研究は、そのことを示す多くの研究のうちの1つだ」と語った。マッカロー博士はこの研究には関わっていない。

「COVID-19ワクチン接種が心筋炎や心膜炎などの副作用を引き起こす可能性があるということは、つまり、一部の犠牲者に事前に予測できない致命的な心停止をもたらす可能性があるということだ」とマッカロー博士は付け加えた。

COVID-19による入院

著者らは、ワクチン接種を受けた人の心筋炎とCOVID-19の入院リスクも比較した。

まれではあるが、小児と青少年は、ワクチン接種の有無に関係なく、心筋炎や心膜炎を発症するよりも、COVID-19で入院する可能性が高かった。

COVID-19ワクチンを1回接種した青少年のうち33人がCOVID-19で入院し、3人が心筋炎を発症した。ワクチン未接種群では57人が入院した。

著者らは、青少年は小児よりもコロナワクチンの恩恵を受ける可能性が高いと結論付けた。これは、青少年と比較して、小児はワクチン接種後に心筋炎になるリスクが高く、COVID-19感染による入院リスクの減少が低かったためである。

小児との違い

ワクチン接種により、コロナの重症化リスクは青少年では有意に減少するが、小児では減少しなかった。

ワクチン未接種の小児または青少年552,000人以上のうち、COVID-19で集中治療を必要としたのは3件のみだった。3件とも、ワクチン未接種の青少年に発生した。

さらに、ワクチン接種を受けた小児と未接種の小児の間で、COVID-19感染の重症度に有意差はなかった。

COVID-19が出現して以来、研究者たちは、なぜ幼い子供が大人に比べて生存率が高いのか不思議に思っている。感染症は、非常に幼い子供や非常に年配の人を死なせることが多いが、研究では、COVID-19が通常、乳児には危害を加えないことがわかっている。

研究者の中には、小児は成人に比べて生体防御の最前線に位置する自然免疫系の反応が早いため、防御力が高いと推論する者もいる。そのため、COVID-19感染を迅速かつ強固に防御できるという。

ニューヨークを拠点とするエポックタイムズ記者。主に新型コロナウイルス感染症や医療・健康に関する記事を担当している。メルボルン大学で生物医学の学士号を取得。