硫黄島の隆起が止まらないと、気象庁が報告。
太平洋戦争時には、激戦地で有名な硫黄島。島は基底の直径40km、比高2000mの大型の海底火山の山頂部にあり、直径約10kmのカルデラを埋積した後カルデラ火山の山頂部である。
元山は浅海底に流出・堆積した溶岩・火砕岩が隆起・陸化した部分、摺鉢山は陸上火山の溶岩と火砕丘。岩石は福徳岡ノ場とともに伊豆諸島では特異な粗面安山岩。構成岩石のSiO2 量は54.6~60.5wt.%である。
島内は全体的に地温が高く、多くの噴気地帯、噴気孔がある。異常な速さで島全体の隆起が続いており、島内各所で噴火が発生している。有史以来の記録を見ると、1889(明治22)年依頼、水蒸気爆発が多いのだが、2018年の海底噴火以来、噴火が増えており、2022年8月から12月にかけて翁浜沖で発生した噴火では、観測開始以降はじめてマグマ物質が確認された。
上記の資料により、長期的には隆起しているのが明らかである。気象庁発表のデータを見る限り、噴火の回数とその噴火の質が変化してきており、さらに重要な点は、長期的にみて隆起が確実である点だ。
某国は国土を増やそうと、戦狼外交に躍起になっているが、かたや、日本は地震が多いが、国土は自然と増えているということになる。
しかし、先の能登半島地震では、多くの古い建物が倒壊し、犠牲を出した。国が考えるべき、将来の天災に備えての古い家屋の耐震性や耐火性を増やすための、補助金とか強化するとかの政策がなく、あるいはあったとしても効果が薄く、結局、無策になっているのではないか? 右肩上がりの上昇傾向に国を導いてほしいものである。リストアも立派な経済対策ではないだろうか。
西ノ島 新島誕生
東京ドーム61個分という領土獲得
さて、小笠原諸島から西に125km行くと、硫黄島の隆起に歩調を合わせたかのような新島、西ノ島がある。2013年11月頃からの噴火に伴い新島が出現、溶岩流により面積が拡大し12月には西之島と接続して、その後も2015年まで噴火が継続した。溶岩流を伴う噴火は2017年、2018年、2019~2020年にも発生。特に、2019~2020年の噴火では、2020年6月から8月にかけて、大量の火山灰を噴出する特に活発な噴火へ移行した。それ以降、溶岩流を伴う噴火は発生していない(2023年2月現在)。2018年12月時点で、西之島の面積2.89km2、標高160m。
現状: 2022(令和4)年、噴火発生10月1日:噴煙高度が火口縁上1600mの噴火を確認(気象衛星ひまわりよる観測)。以降、10月12日まで継続して火山灰を含む噴煙を確認。期間中の最大噴煙高度は3500m。3月中旬頃から12月上旬頃にかけて、地表面温度がわずかに高い状態を観測(気象衛星ひまわりによる)。1973~1974年噴火以前、島は長径(南西-北東)約650m、幅約200m、面積約7万7千m2(0.077km²)、標高25m、2018年12月時点で、西之島の面積2.89km2、標高160m。面積は約37.5倍になり、増えた国土は2.813㎞²、高さは約6.4倍となった。
東京ドームの建設面積が4万6755m2(0.04676km²)なので、東京ドーム約61個分という領土獲得となった。
今は無人島であるが、やがては火山活動も落ち着くだろうし、この天象のお陰で、日本人として、子孫に残すにはちょっとしたプレゼントになるかも知れない。なぜなら、宝が眠るEEZ(天然資源及び自然エネルギーに関する「主権的権利」、並びに人工島・施設の設置、環境保護・保全、海洋科学調査に関する「管轄権」が及ぶ水域のこと)が広がっていることが確認されているからだ。
海底資源は日本を資源大国に変えるか?!
近年における技術の発展と調査によって、日本の領海・排他的経済水域(EEZ)の海底に金、銀、銅、亜鉛、鉛、石油、コバルト・リッチ・クラスト、メタンハイドレートなどの豊富なエネルギー資源や鉱物資源の存在が確認されている。
日本近海には、海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、メタンハイドレートに含まれる鉱物資源が豊富に存在しており、300兆円相当の製品価値があるとされている[1]。
天象は国家規模での吉凶をもたらすというが、吉もあれば凶もある。吉で浮かれることなく、今後の天災にしっかり備えることが、国家として徳を積むことになるだろう。
備考:
1㎞2 = 100万m2
1m2 = 0.000001㎞2
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