昨年12月に発表されたある画期的な研究で、ファイザー社のmRNAワクチンの中に、体内で「意図しない免疫反応」を引き起こす塩基配列が発見された。
モデルナ社やファイザー社のワクチンに使われているような合成メッセンジャーリボ核酸(mRNA)は、SARS-CoV-2を模倣した特異的なスパイクタンパク質を体内で作り出す。身体はこの外来タンパク質に反応し、免疫機能を働かせる。理論上、この免疫機能が、体内に侵入してきた本物のウイルスを無力化する。
昨年12月6日付けのネイチャー誌に掲載されたこの研究のプレスリリースは、以下のように述べている。
「イギリス医学研究評議会(MRC)毒性学ユニットの研究者らは、mRNAを『読み取る』細胞機構が、mRNA治療薬によく見られる化学修飾の繰り返しに直面した際に『スリップ』することを発見した。このスリップによって、標的タンパク質に加えて、意図しない免疫反応を引き起こす『オフターゲット』タンパク質が産生される」
研究者らは、現在mRNA治療薬に含まれているN1-メチルシュードウリジンと呼ばれる化学修飾を受けた塩基が、mRNAの塩基配列に従った「スリップ」の原因になっていることを突き止めた。
MRCの研究チームがケント大学、オックスフォード大学、リバプール大学の研究者らと共同研究したところ、ファイザー社のmRNAワクチンを接種した21人の患者のうち3分の1に、意図しない免疫反応が起きていたことが判明した。
mRNAの再設計
MRCの研究チームは、このような意図しない「オフターゲット効果」を回避するために、合成mRNA中のエラーを起こしやすい遺伝子配列を再設計した。
同研究チームのジェームス・タベンチラン博士は以下のように述べた。
「エラーの起こりやすいコードをワクチンのmRNAから取り除くことで、不用意に他のタンパク質を作ることなく、免疫反応に必要なタンパク質を作ることができる。未来のmRNA医薬品の安全性に関して懸念されるのは、誤った免疫反応が有害となる可能性が大きいということだ。したがって、オフターゲットの免疫反応は常に避けるべきだ」
同研究チームのメンバーで生化学者のアン・ウィリス教授は、今回の再設計に関して、「この新たなタイプの薬に対する懸念と解決策の両方を提示するものだ」と語った。
細胞内のリボソームは、天然および合成のmRNAからタンパク質を生成する。正確にタンパク質を作るには、mRNA上のリボソームの正確な位置が必要だ。ケンブリッジ大学のプレスリリースは「リボソームはmRNAの塩基配列を一度に3塩基ずつ読み取るのだが、ここで起こるわずかなズレが、コードと出来上がるタンパク質を大きく歪める」と述べている。
リボソームがmRNAを読み間違えて、意図しないアミノ酸になってしまった場合、その変異はフレームシフトと呼ばれる。
「リボソームがmRNA中のN1-メチルシュードウリジンと呼ばれる修飾塩基列に直面すると、約10%の確率でスリップし、mRNAが誤読され、免疫反応を引き起こすのに十分な意図しないタンパク質が産生される。このようなN1-メチルシュードウリジンをmRNAから取り除くことで、『オフターゲット』タンパク質の産生を防ぐことができる」
本研究は、イギリス医学研究評議会(MRC)とWellcome LEAP R3プログラムの助成を受け、研究機関NIHR Cambridge BRCの支援を受けた。利益相反に関しては、本研究の著者のうち2名が、mRNA技術に関する出願中の特許(2305297.0)の発明者だ。
根本的な失敗
MRCの研究チームが「意図しない免疫反応に悪影響はない」と主張した一方で、専門家らは、今回の安全性に関する懸念が、新型コロナのmRNAワクチンを承認した科学界と規制当局のよる根本的な失敗を明らかにしたと主張した。
ResearchGateに掲載されたこの研究に対する論評は、「これらのオフターゲットタンパク質の形成は、コミナティの添付文書には開示されていない。ワクチン接種の結果、意図しないタンパク質が生成される可能性があるという知見は、規制当局が過去または将来発生する可能性のある危害について完全なリスク評価を実施する十分な理由となる」と述べている。
著者らは、DNAレベルでの細胞修飾に言及し、WHOのmRNAワクチンのガイドラインによれば、「製造業者は『予期せぬオープン・リーディング・フレーム』の詳細を提供すべきだ」と述べている。
「この研究が英国政府の後援のもとに実施されたことを考えると、英国の規制当局、メーカー、FDAを含む国際的な規制機関は、何カ月も前にこのデータを知らされていたと考えなければならない」
「オフターゲットタンパク質の形成がなぜもっと早く発見されなかったのか、それがどのような毒性作用を引き起こしたのか、また、将来的な危害を防止するためにどのような措置を講じ、これらの発見を一般に知らせるためにどのような措置を講じたのか、その説明を待ちたい」
エポックタイムズはファイザー社、モデルナ社、FDA、CDCにコメントを求めた。
専門家らの反応
ジョナサン・エングラー博士は12月6日付のX上の投稿で次のように述べている。
「これは壊滅的だ。mRNA注射の設計上の欠陥により、ランダムなタンパク質が作られ、それが大量に炎症を引き起こす。この製品は全身に広がるため、この現象はいたるところで起こる。このことは、これらの製品に関連して報告された様々な免疫障害を説明している」
一方で、研究の支持者は、批判者が不必要に問題を作り出していると主張した。
医療情報を発信するエドワード・ニーレンバーグ氏はX上の投稿で次のように述べた。
「フレームシフトは、例えばウイルス感染などでは珍しいが、自然に起こる現象だ。これらは、免疫系が標的とするタンパク質産物を生み出す」「コロナウイルスは、タンパク質を作るために、複製サイクルの一部としてフレームシフトを必要とするように進化してきた」
免疫学者のマーク・ヴェルドホーエン氏は、X上の投稿で次のように述べた。
「有名な反ワクチン論者の中には、リボソームのスリップ/フレームシフトによって停止コドンが欠落し、独自のミトコンドリアタンパク質が作られ、自己免疫の危険性があると主張している者もいる。新型コロナワクチンのmRNAには他のタンパク質コードは含まれていないことを知ることは重要である」
救急医のカシフ・ピルザーダ医学博士はX上の投稿で次のように述べた。
「これは大事件だ。ノババックスは、mRNA注射に比べてはるかに軽い反応を示すし、この偏った情報環境の中で、より従来型のタンパク質ベースのワクチンという選択肢を提示している。私は普段mRNA注射には驚かされるが、ノババックスの場合はそうではない」
心臓専門医のピーター・マッカロー博士は、「おそらく、ノババックスは他のブランドと比較して最も安全なワクチンだ」と述べているが、新型コロナワクチンには高い心臓リスクがあるため、接種は推奨できないという。
新型コロナワクチンは主に、mRNAワクチン、ベクターワクチン、タンパク質サブユニットワクチンの3つに分かれる。ファイザー社とモデルナ社の新型コロナワクチンはmRNAワクチン、アストラゼネカ社とヤンセンファーマ社の新型コロナワクチンはベクターワクチン、ノババックスはタンパク質サブユニットワクチンだ。
ワクチン接種後に有害事象に苦しむ人々がいることを指摘する研究は複数ある。
昨年10月のある研究では、新型コロナワクチンが、関節、腱、骨、筋肉に現れる、原因不明のリウマチ性炎症性疾患を誘発する可能性が示唆された。これには関節炎、血管炎、全身性エリテマトーデス、成人発症スティル病などが含まれる。
また、別のある研究では、新型コロナのmRNAワクチンがビフィズス菌と呼ばれる有益な腸内細菌を減少させることが示された。ビフィズス菌は、病原体や癌に対する高い免疫力と関連している。
臨床病理学者のライアン・コール博士は昨年、エポックタイムズの番組「米国思想リーダー」のインタビューで、「一部のmRNAワクチンにDNAが混入していることが、ガンや微小血栓、自己免疫疾患の発生率の上昇に関係している可能性がある」と語った。
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