腸は第二の脳!? 便秘が引き起こす認知症障害!
初めて行われた新しい研究で、便秘が認知能力の低下を引き起こす新たな要因の可能性がある、という驚きの結果が発見されました。
アルツハイマー病協会医学・科学関係副総裁で分子生物学博士のヘザー・スナイダー(Heather Snyder)氏は、体の各システム間の相互あるいは総合的な関連性を強調しています。彼は声明の中で、「1つのシステムの障害は他のシステムに影響を与えることが多い」と述べ、「この1つの機能障害が処理されなければ、それは体に一定の、あるいは一連の影響を与えることになる」と述べました。
この研究はまだ発表されていないのですが、最近オランダで行われたアルツハイマー病協会の国際会議で共有されており、会議はインターネットでも生中継されました。これらの発見は、腸と脳の複雑な健康上の関係をより深く理解させるものでした。
60歳以上の3人に1人の便秘には、9つの原因がある
便秘は、とても一般的な消化器系の問題で、年間250万回の受診の理由が便秘なのです。慢性便秘とは、3日以上で1回しか排便できないというもので、原因は炎症、ホルモン不均衡、焦りやうつなどの長期的な健康問題と関係がある可能性が指摘されているのです。
2012年の調査によると、60歳以上の人の3分の1が便秘問題を抱えており、総人口の約16%に及ぶほどなのです。
臨床的に発見された便秘の原因は少なくとも以下の9つを含みます:
•低繊維飲料・繊維、糞便が結腸を通過するのに役立つ。
•脱水、水分は便の柔らかさを維持し、排出しやすいことに役立つ。
•運動不足、運動は結腸の蠕動を増加させるのに役立つ。
•一部の薬物、オピオイド系薬物(ケシ から採取される アルカロイド や、そこから合成された化合物、また、体内に存在する内因性の化合物を指す。鎮痛 、 陶酔 作用があり)、抗うつ薬、鉄サプリメントのよく見られる副作用がある。
•甲状腺機能減退症は、消化と結腸収縮を緩和することができる。
•ストレスと不安は、糞便の移動を助ける結腸神経信号を妨害する。
•腸易激症候群は、結腸輸送を遅くし、腹痛を引き起こす。
•神経系の不調は、排便を制御する神経を損なう。
•加齢とともに、排泄をサポートする筋肉群が弱まる。
腸と脳の関連性は?
便秘が認知能力に影響を与えるかどうかを研究するために、研究者は3つの臨床研究中のデータを分析しました。この3つの臨床研究は、看護師健康研究、看護師健康研究II、医療専門家のフォローアップ研究でした。これらの研究には11万人以上の参加者が関与しました。
参加者は2012年と2013年の間に排便頻度を報告しました。次に、2014~2018年の間に、研究者は1万3000人近くの参加者に対して主観的で客観的な認知機能テストを行いました。
研究者は、排便回数の減少は認知機能の低下と関係があり、これは受信、処理、保存、情報に基づいて反応するなどの心理過程に関連していることを発見したのです。
毎日排便している人に比べ、便秘している人の認知能力は低下していました。同世代の人で、3年以上分の老化に相当します。便秘は主観的認知障害のリスクが73%高まることにも関連していました。
排便頻度の低さが認知問題につながるだけでなく、1日2回以上排便する人の認知能力も低下するリスクがわずかに増加しています。
1つの可能性のある解釈は、腸内細菌が便秘と脳の健康に関して、何らかの役割を果たしていることです。微生物のレベルの低い参加者、すなわち、腸管の障壁を維持するために必要な化合物レベルが低いこと、および繊維を消化できる細菌のレベルが低い参加者は、便秘や認知能力が低下しやすいことになります。
より多くの研究結果が、腸の健康と脳の機能との相互のつながりがあることを支持しています。
アルツハイマー病会議では他の2つの研究も、腸の健康と認知能力の関係がどのように年齢とともに変化するのかを示していました。
(つづく)
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