中国や台湾に「凍豆腐(とうどうふ)」という食品があります。
自然または人工の冷気のなかで豆腐を凍らせてから、熟成と乾燥の工程を経て作られる、昔ながらの保存食です。
栄養が凝縮された保存食
凍豆腐は、日本の皆さんもよくご存じの高野豆腐、あるいは凍み豆腐(しみどうふ)や凍り豆腐と同類の食材で、中国や台湾でも日常よく食べられています。
「日本の豆腐は、遣唐使のころに中国から日本へ伝えられた」というのが一般的な説ですが、高野豆腐(凍豆腐)とその製法が中国から伝えられたものかどうかは、よく分かりません。冬の寒い季節に、日本の山寺の豆腐が凍って自然にできた可能性も考えられます。
いずれにしても、この食材は、保存が効くわりに調理しやすく、植物性タンパクやミネラルを豊富に含む「体に良い食物」であることは昔から経験的に知られていました。
仏門の徒に供される精進料理では、肉や魚の代わりに「植物の肉」と呼ばれる豆腐がよく使われます。とくに凍豆腐は、元の豆腐よりタンパク質が多くなっているうえ、肉にちかい食感が味わえるため、菜食者(ベジタリアン)には欠かせない食材です。
豆腐を冷凍し、乾燥させ、また調理前に水でもどした凍豆腐は、実際のところ栄養が少なくなることはないのでしょうか。
もともと豆腐は80%が水分なので、冷凍した凍豆腐は、水分が減るだけ凝縮されて栄養価が高くなります。100 gの水切りをした凍豆腐には約50 gのタンパク質が含まれています。
そのほか、凍豆腐には必須ミネラルの1つである鉄分も多く含まれていて、妊娠中、授乳中の人の栄養補助、鉄分不足の人の貧血防止にも最適です。さらに、凍豆腐は炭水化物の含有量が少ないため、ダイエット食を実施中の人にも薦められます。
凍豆腐の作り方
凍豆腐(日本でいう高野豆腐)の作り方は、とても簡単です。
冷凍して水分を抜いた豆腐は、やや黄色味がかりますが、心配なく食べられます。
ただし、家庭で凍豆腐を作る場合、完全に乾燥させて常温保存ができるようにするのは難しいため、冷蔵庫に入れて早めに食べるようにしてください。
凍豆腐の作るには、まず豆腐を食べやすい大きさ(3cmの角切り)に切ります。切った豆腐をバットに並べて、冷凍庫に入れます。
完全に凍ったら保存袋に移し、そのまま冷凍保存できます。解凍は、調理する分だけバットに並べ、自然解凍します。解けた水が豆腐に触れないように、バットを傾斜させると良いでしょう。急ぐ場合は電子レンジでも解凍できます。
レシピ「凍豆腐の香り炒め」
肉のような食感で、味と香りが楽しめる凍豆腐レシピを1つ、ご紹介しましょう。
2人前の材料は、解凍して水でもどした凍豆腐300g、顆粒コンソメ小さじ1/2、鶏卵1個、塩こしょう少々。ほかに片栗粉とオリーブ油適量です。
凍豆腐以外の材料をボウルに入れ、よく混ぜます。そこへ凍豆腐を加えて、味が染みるように10分ほど浸します。
フライパンにオリーブ油を熱したら、片栗粉をまぶした凍豆腐を入れ、きつね色になるまで香ばしく炒め焼きにします。
皿に盛り、お好みでケチャップをつけて食べてください。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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