老化は、年をとるにつれて、誰もが直面する問題です。
しかし適切な「健脳食品」、つまり「脳の健康に有益な食品」を日常の食事のなかに取り入れることにより、脳神経系の疾病リスクを大幅に減らすとともに、心理面の健康を促進し、脳の鋭敏さや集中力を高齢になっても維持することができます。
あなたの脳を守るフルーツ
ハーバード大学の栄養学者で精神科医、メンタルヘルス研究者のウマ・ナイドゥ氏は4月9日、米国のニュース専門放送局であるCNBCに寄稿し、そのなかで「長年の研究を通じて、ブルーベリーは脳の老化防止に最も有効であることが分かりました」と述べました。
脳の老化防止に役立つ食物には、ホウレンソウやケールなど緑の葉物野菜から、アーモンドやクルミなどのナッツ類まで、さまざまな選択肢があると言われています。
なかでもブルーベリーは、複数の研究が、脳に非常に良いことを示しています。
ブルーベリーの効能の1つに抗酸化作用があることはよく知られていますが、研究によると、ブルーベリーは脳の機能維持にも大きなメリットがあり、記憶力の衰えを改善するとともに、落ち込んだ気持ちを高めることができるのです。
朝食には「ぜひブルーベリーを加えて」
以下は、ハーバード大の研究者ナイドゥ氏の記事で紹介された、ブルーベリーに含まれる成分の効能についてまとめたものです。
それによると、「ブルーベリーを毎日カップ1杯(200g)摂取すると、血管機能が改善され、収縮期血圧が下がることが明らかになった」と言います。
米国では、ブルーベリーの収穫期に大量に採れた果実を急速冷凍して保存および流通させます。砂糖や他の果汁、防腐剤などを添加しない限り、冷凍ブルーベリーでも同じ健康効果が得られます。
ブルーベリーは用途が広く、食べやすく、おいしい果物です。
とくに朝食時に摂ることが薦められますので、彼女(ナイドゥ氏)も毎日の朝食にブルーベリーを必ず取り入れているそうです。
その主な理由は、以下の通りです。
1、フラボノイドが豊富
ブルーベリーには、多くの健康上の利点をもつ植物化合物のフラボノイドが豊富に含まれています。この物質は、とくに認知症リスクを下げることが研究でわかっています。
英レディング大学の研究によると「ブルーベリーには脳の血行を促進する効果がある」と言います。とくにブルーベリーに含まれるフラボノイドは、血管を広げて血流を良くする効果があり、それにより血圧を下げることができると言われています。
2、抗酸化物質が豊富
ブルーベリーに独特の色を持たせるのは、抗酸化物質であるアントシアニンです。
アントシアニンは、とくに脳の健康維持に有益で、ストレス耐性と抗炎症作用を補助するはたらきがあります。
高齢者がブルーベリーを食べることは、脳機能障害の予防だけでなく、認知機能の衰えを防止し、記憶力を改善するのに役立ちます。
3、食物繊維が多い
あまり知られていないことですが、ブルーベリーは、ざらざらした食感の繊維はありませんが、キャベツよりも食物繊維の含有量は多いのです。
この食物繊維は、人間の「第二の脳」とも呼ばれる腸のなかの環境を改善する重要な物質です。
4、葉酸が含まれている
葉酸は、感情や認知を制御する脳内の神経伝達物質を正常に機能させる、重要なビタミンです。脳の健康に欠かせない葉酸が不足すると、認知症リスクが高まります。
ナイドゥ氏によると、「葉酸の欠乏は、一部の神経系疾患の誘因になっている可能性がある」として、ブルーベリーを食べて葉酸の不足を補うことは、精神面の健康、脳の健康、認知力の維持、いずれにとっても有益だと言います。
なおブルーベリーは、日本では生産量が少ないため、日本のスーパーで常時販売されている果物ではないかもしれません。ただ、大木にはならず、手入れが簡単で、肥料や農薬を使わなくてもよく育ちますので、家庭菜園の樹木として植えてみてはいかがでしょうか。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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