ソクラテスの弟子たちはかつて人生の真諦についてソクラテスに尋ねたことがあります。するとソクラテスは弟子たちを果樹園まで連れて行き、「皆それぞれ、果樹の列に沿って終点まで歩き、途中で自分が最も大きいと思う果物を1個だけ取るのだ。後戻りをしてはいけない。選ぶチャンスも1度だけだ」と弟子たちに伝えました。
弟子たちはソクラテスに言われた通りに出発し、それぞれ真剣な表情で選びました。
弟子たちが終点に着いたとき、ソクラテスはすでにそこで待機しており、「皆、それぞれ気に入った果物を取れたかな?」と聞くと、1人の弟子が、「先生、もう1度選ぶチャンスをください。歩き始めてすぐ、とても大きくておいしそうな果物を見つけました。しかし、後にまた良いものがあるかもしれないと思って取りませんでした。しかし、終点まで進んで、やはりあの果物が一番よかったことに気づいたのです」と言いました。
他の弟子たちももう一度選ぶチャンスが欲しいと声を上げました。しかし、ソクラテスは頭を左右に振り、「人生とはこういうものだ。2度目のチャンスはない」と答えました。
この一生の中で、人々が与えられたチャンスは皆平等なものです。チャンスを掴んだ者もいれば、逃してしまった者もいるでしょう。良いチャンスを逃した人の中には、優柔不断な人、貪欲な人がいます。これは、欲張らずに全てのチャンスを大切にすることが重要であることを示しています。
すでに決めた目標に向かって、しっかりと、着実に実現していきましょう。財産や名誉、地位などうわべのものにこだわらず、誰かを恨んだり、過去を悔やんだりしないような人生を歩みましょう。一つ一つのチャンスを大事にすることは自分の生命に対して責任を取ることでもあるのです。この短い一生の中で、良きチャンスや機縁は、ほとんど1度きりのものなのです。
――「明慧ネット」より転載
(翻訳編集・天野秀)
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