聖徒伝の悪竜
中世の聖徒伝には、多くの聖徒が民のためにドラゴンを退治した物語が描かれています。その中で有名な伝説は「聖ジョージとドラゴン」です。この物語は8世紀に口頭で伝わり、後に聖人伝『黄金伝説』に記録され、その後も多くの文学と芸術作品の要素になりました。
物語の描写によると、ジョージは湖のそばで生贄にされるお姫様を見ました。元々お姫様がいるお城の隣には湖があり、湖には毒ガスを噴き出す竜が住んでいて、人々は定期的に羊や生きている人間を生贄とし、災いを免れていました。
今回はちょうど姫が生贄となっていて、事情を知った聖ジョージはドラゴンを殺すことにしました。結局、彼は長い槍で毒竜を刺した後、姫の腰帯で竜を縛り城に連れて来ました。
「聖ジョージとドラゴン」の物語のほか、多くの聖徒の伝説にも、それに非常に類似したエピソードがあります。物語の多くは聖人が村や城に来ると、地元の悪竜が人々に危害を加えており、その方法は火を噴き出すか、毒ガスを噴き出すかなどですが、物語の中の聖人は最終的に民のために害を取り除きます。
西洋竜の形と特性
西洋竜も実は様々なイメージがあります。大体、現在知られているイメージは、古代の恐竜のようで、頭に角があり、翼はコウモリのようで、体にも鱗があります。噂によると、竜の目には四つのまぶたがあり、そのうちの三層は透明で、ダメージから目を保護できるそうです。獲物を引き裂くために歯は非常に鋭くなっています。
西洋の芸術作品の中には、ドラゴンの描写も多いです。特に聖ジョージの竜殺しをテーマに14世紀と15世紀に現れ、ロンドンの大英博物館には15世紀以降の壁画装飾で、聖ジョージの竜殺しを描いたフレスコ画が多く保存されています。有名なルネサンス時代の画家ラファエロ(1506年)も聖ジョージの竜殺しを題材にした油絵を描いたことがあります。
ラファエロの絵画では、悪竜は黒いドラゴンで、黒い翼と尻尾を持ち、首が太くて曲がっていて、口の中には鋭い歯があり、舌を出して、凶悪に聖ジョージに飛びかかっています。西洋文化におけるドラゴンのイメージの基本的な解釈を十分に表現しています。
実は、今日の観点から見ると、西洋竜と東方竜は文化の中での役割が違うだけでなく、性質と外見も異なります。ただ「dragon」を翻訳した時、不注意にも竜という言葉を誤用したため、今でも興味深い誤解を引き起こしているのです。
(翻訳・金水静)
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