2008年あたりから以降、砂糖の消費量がどんどん減っていると言われます。
これはおそらく、味の好みやライフスタイルの変化、過去10年間の低炭水化物ダイエット(ケトン食)の人気など、いくつかの理由から起きた現象でしょう。
もちろん、糖分の過剰摂取による健康への悪影響について、以前よりも理解が深まったことが今の「断糖」や「減糖」の流れを後押ししているのかもしれません。
糖分の摂取量を減らすことは、総カロリー摂取量を減らすという意味も含めて、確かに健康効果があります。それは体重を減らすとともに、歯を守るのにも役立ちます。
日本でも、自身の健康のために決意して甘いものを遠ざける、いわゆる「砂糖断ち」を実行している人が少なくないと聞いています。
砂糖を急激に減らすと、頭痛や疲労感、気分の変化などの副反応が報告されることがあります。
これらの副反応は通常、一時的なものです。その原因については、まだ十分に解明されていませんが、これらの症状はおそらく、糖分を含む食品を口にしたときの脳の反応や、それに対する生物学的な「報酬」に関係していると考えられます。
炭水化物は、糖質と食物繊維からなっています。その糖質には、砂糖やデンプンも含めていくつかの形態があり、果物の果糖や牛乳の乳糖などのように、多くの食品に自然に含まれています。
食卓に乗っているシュガーポットの砂糖はショ糖と呼ばれ、サトウキビ、ビート、メープルシロップ、ハチミツなどに含まれています。
ショ糖は口の中の甘味受容体を活性化させ、最終的には脳内のドーパミンの放出につながります。ドーパミンは、脳の神経間で情報を伝達する神経伝達物質です。
ドーパミンの役割は、主に「喜び」やその「報酬」に関わる脳の部分に現れます。この「報酬」が行動を支配している面があるため、人間は「ドーパミンの放出につながる行動を繰り返すように仕向けられている」とも言えるのです。
例えば、とても栄養のある食物とは言えないジャンクフード(スナック菓子)を、いつまでも食べてしまう行動は、脳内のドーパミンが関係していると言えます。突然、大好きだった甘いものが断たれると、病気でもないのに脳が頭痛を起こして「糖分を摂れ」と叫び出すのです。
そのため、私たちが「断糖」や「減糖」を実行したときに、何らかの副反応が起きてもおかしくありません。具体的には、一時的な抑うつ症状、不安、錯乱、糖分に対する強い欲求、頭痛、めまい、疲労感などがあります。
他の食事療法と同じように、ダイエットのために「断糖」や「減糖」を始めたならば、最初は苦しくても継続することが大切です。特に、最初の数週間をなんとか乗り切れるように頑張りましょう。
ただし、あまり極端に考えてしまうのも、体と心に良くないかもしれません。
砂糖自体は絶対に「悪いもの」ということではないので、健康的な食事と適度な運動をしながら、適量の糖分は摂取することが重要です。
(文・James Brown/翻訳編集・鳥飼聡)
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