誰もがミシンの操作を知っているわけではありませんし、腕のない人にとっては、なおさら想像もつかない作業でしょう。しかし、インドに住む腕のない男性は、それで生計を立てているだけでなく、彼の村で有名な「足細工」の仕立て屋として知られるようになりました。彼の意志が、ついに村の人たちの見方を変えたのです。
インド北部のハリヤナ州出身のマダン・ラルさん(45歳)は、生まれつき上肢がありませんでした。 しかし、それでも彼は、驚くべき忍耐力で自活の術を身につけただけでなく、仕立て屋になって生計を立てられるようになったのです。
「私は生まれたときから腕がありませんでしたが、子供の頃は何も感じませんでした」とラルさんはバークロフトTV(Barcroft TV)のインタビューで語っています。そして、「祖父母は私の面倒を見てくれて、日常の家事を手伝ってくれました」と語りました。
ラルさんは、家ではよく面倒を見てもらっていましたが、社会ではその障害のために、多くの人から差別されていました。
ラルさんは、子供の頃を振り返り、「子供の頃はほとんどの学校で、障害を理由に受け入れてもらえませんでした。 先生たちは、私を学校に登録することを拒否しました。とても悔しかったので、何かを成し遂げることで、自分の力を見せようと思いました。家族は学費を払えず、政府も助けてくれないと思ったので、何かしないと生きていけないと思いました」と語っています。
23歳の時、ラルさんは仕立て屋になることを決意しましたが、その夢を実現するのは困難でした。まず、彼に教えてくれる先生を探すのが大変でした。誰もが彼は成功しないだろう、ミシンを操作することはできないだろうと思っていたからです。
「いろいろなところに行って、たくさんの仕立て屋と会いました。 私は、彼らから学べるようにトレーニングをしてほしいと頼みましたが、すべての人に笑われてしまいました。みんな、上肢がないと服が作れないと言っていました」とラルさんは言いました。
何度も何度も、ラルさんはがっかりして帰ってきました。ある日、ファテハバード県で自分を助けてくれる仕立て屋を見つけました。「腕がないのにどうやって針仕事をするんだ」と、最初はラルさんの能力を疑い、彼は教えてくれませんでした。
ラルさんは「どうか私にチャンスをください」とお願いしました。そこで、その仕立て屋の人も納得してくれました。 しかしわずか10日から15日後、その仕立て屋はラルさんに「君は成功するよ」と言い始めました。
1年後、ラルさんは実際に仕立て屋になって、村に自分の仕立て屋を開きました。これが、彼の人生に大きな影響を与えました。
お店をオープンした日、ラルさんの気持ちを想像することができるでしょう。「その日、私はそれまでの苦しみをすべて忘れてしまいました。 そして、私の人生で最高の日でした。私の店に挨拶に来てくれる人もいました。村中がとても喜んでくれて、まるで自分の家族のようでした」
しかし、最初はまだラルさんの実力を疑う人もいました。ラルさんは、何人かの人々が彼をからかったと言いました。彼らは、彼が足で服を仕立てられるとは思っていなかったし、仕立てたら服をダメにしてしまうと心配していました。
しかし、徐々に人々の信頼を得られるようになっていました。その後、多くの人から縫製の仕事を依頼されるようになりました。「それは、人々からの愛とサポートの賜物です。昔とは違って、みんなの信頼を得ています」と、ラルさんは語っています。
ビデオでは、ラルさんが器用に足を使って、ミシンを巧みに操作したり、布を切ったり測ったり、ひげを剃ったり、顔や髪を洗ったりする様子を見ることができます。 腕のない人ができることに驚くのと同じように、ラルさんにとっても嬉しいことでしょう。
(翻訳:里見雨禾)
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