英オックスフォード大学出版局の学術誌『Brain』10月20日付けに、以下のような興味深い研究が発表されました。
高齢者は、寝る時間が短すぎても、長すぎても、脳の健康に悪影響を及ぼすことが分かりました。1日の睡眠時間は6、7時間がベストです。
ワシントン大学医学部が主導したこの研究は、高齢者の睡眠時間と脳の認知力および健康との関係を調べたものです。調査対象は100人で、平均して約4年半にわたり追跡調査しました。対象者の年齢の平均値は75歳でした。
その結果、1日の睡眠時間が5時間未満の参加者と7時間半以上の参加者は認知力が低下していました。 6~8時間の間で、睡眠時間が一定している参加者のみ認知力が最も安定しているという結果が得られました。
研究者の一人であるワシントン大学医学部のデービッド・ホルズマン氏は、「認知力の低下は、睡眠不足の人、および睡眠時間の長すぎる人に見られました。これは睡眠の質が重要なのであり、時間の長短だけを見てはいけないことを示しています」と語ります。
米疾病予防管理センター(CDC)の推奨によると、成人は1日7時間の睡眠が必要とされています。学齢期の小児では9~12時間、10代の若者は8~10時間です。
では、質の高い睡眠とは、どういうものでしょうか。
睡眠は4つの段階に分けられます。第1段階は入眠段階で、大体10分弱です。
第2段階は、全身の筋肉がリラックスする、30~60分間ほど続く浅い眠りの段階です。
第3段階は深い眠りの段階で、脳の徐波活動が増加する20~40分間続き、体も回転し始めます。これら3つの段階は徐波睡眠、いわゆるノンレム睡眠に属します。
第4段階は急速眼球運動睡眠、いわゆるレム睡眠で、眼球とまぶたが動き、夢を見始めます。
睡眠サイクルは、このような4段階があり、1サイクルの所要時間は約90分です。
十分な睡眠をとるためには、一晩に4~6サイクル繰り返す必要があります。普通の人がこれらのサイクルをこなすには、邪魔されない7~8時間の睡眠時間が必要になります。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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