「うま味調味料」はガンの原因になりますか?

調理に広く使われる「うま味調味料」、あるいはソーセージベーコンなどの加工肉製品は、「がんを引き起こす可能性がある」とされるブラックリストに掲載されています。
しかし実際には、それほどではないかもしれません。
 

亜硝酸塩は「がんの原因になるの?」

ソーセージ、ベーコンなどには亜硝酸塩、硝酸塩が含まれており、これら加工肉製品を食べるとがんになるという話がよく聞かれます。

しかし、食品科学の博士であり、栄養士である陳小薇氏は、栄養バランスのとれた適切な食事であれば、過度に心配する必要はないと言います。

一般に、亜硝酸塩や硝酸塩は体に害を及ぼすことはなく、体内で代謝されます。それらが食肉加工品に添加されるのは、重篤な食中毒を起こすボツリヌス菌の発生を防ぐためです。

亜硝酸塩がアミノ酸と反応してできるのがニトロソアミンで、これが発がん性物質です。

第二級アミンは、食肉由来のアミノ酸ですが、主として食肉または魚介類の発酵または腐敗によって産生される物質で、新鮮な肉にはほとんど存在しません。
そのため、ニトロソアミンは、加工肉のなかで品質が悪かったり、古くなったものに発生することがあります。

必要量の亜硝酸塩を添加しないと、ボツリヌス菌によるリスクが生じやすくなります。
そこで陳氏は、「ソーセージなどの加工肉を購入する際は、合格したメーカーを選ぶことから始めるべきだ」とアドバイスします。

また陳氏は、毎日ソーセージをたくさん食べるのではなく、バランスの取れた食事にすべきだとして「何か一つだけを選んで、そればかり食べることをなくせば、とくに害にはなりません」と言います。
 

うまく利用したい「うま味調味料」

陳小薇氏は 「鶏のスープや肉のスープ、シイタケのスープを飲むと、うま味が感じられるのは、もともと使われていた食材にグルタミン酸が含まれていたからです」 と話します。

グルタミン酸は、うま味のあるタンパク質、アミノ酸です。
現代の食品加工技術は、自然食品を発酵させて抽出し、こうした「うま味調味料」を作っています。

中華料理には、うま味調味料が入っていて、おいしさを増しています。

しかし、これらの料理が米国で流行し、現地の人々がそれをたくさん食べた後、いわゆる「中華料理症候群」になりました。
「変に喉が渇く」などの症状が現れたのですが、原因はうま味調味料を入れすぎたことと、米国人がうま味調味料に慣れていなかったことが関係しています。

しかし、うま味調味料は、すでに容器の赤色とは異なり「赤から黒へ」イメージダウンしてしまいました。人々のうま味調味料に対するマイナスイメージは、深く心に染み付いているのです。

うま味調味料は成分が簡単で、少量を調理に使うなら人体に害はありません。むしろ中華料理に使用する油が、高温で変質することのほうが懸念されます。

うま味調味料で本当に気になるのは、グルタミン酸ナトリウムのナトリウムです。
ナトリウムの過剰摂取は高血圧などの問題に関係するため、その理由において、うま味調味料を過度に使用してはならないということは言えます。

もし料理にうま味調味料を入れたら、つかう食塩をやや少なめにしてください。
(文・蘇冠米/翻訳編集・鳥飼聡)