坂本龍馬が好んだ料理が軍鶏鍋(しゃもなべ)であったことは、小説『竜馬がゆく』の最後に主人公が暗殺される場面でも、よく知られています。
実際には、宿所の近江屋に軍鶏が届く前に、見廻組(と見られる刺客)に襲撃されて龍馬は死ぬのですが、たまのごちそうに鶏肉を食することが江戸末期にはかなり一般化していたようです。
そう言えば、昭和の中期(50年ほど前)までは、東京の町中でも古い民家の軒下に鳥小屋があって、ニワトリを飼っていたのを見かけました。おもに朝食のごはんにかける卵をとるためです。
産卵期が過ぎていよいよ「処分」となると(現在は不可能ですが)近所の肉屋さんにこっそり持ち込んだようです。田舎ならば自家でさばいたそうですが、さすがに東京の人に、ニワトリの「解体」までは難しかったのでしょう。
そういう意味で、鳥肉というのは、それが「肉」になる前から日本人の身近にあった存在でした。卵で生み落とされた時から生命の最後まで、ただ人に食されるためにあるニワトリとは、何とも健気な生き物です。私たちは、それに精々感謝して、ありがたく食べることにしましょう。
今日ご紹介するのは、中国語で「鷄柳」という部分、鶏のササミをつかった一品です。
ササミは鶏肉の一部分で、胸肉に近いところに左右一対あります。味は淡泊ですが、タンパク質が豊富なわりに脂肪が少ないので、ダイエットにも、高齢者向けの食事にも喜ばれます。
それでは、今日の料理「チキンとトマトのグラタン」を作ってみます。
作り方は、至って簡単。材料をセットして、オーブンで焼くだけですので、その間に、ほかの調理もできますよ。
材料:2人前
鶏ササミ 4本、タマネギ 半個、トマト 半個、パン粉 大さじ1、塩 小さじ1、黒コショウ 小さじ1、オリーブ油 大さじ1、チーズ 大さじ2
作り方:
1、鶏ササミの白い筋を除去して、両面に塩(分量外)をふり、オリーブ油(分量外)を塗ります。
2、トマトとタマネギは、1.5cm角にカット。グラタン用の耐熱皿に入れ、オリーブ油、パン粉、塩、黒コショウを加えて混ぜ、平らにしておきます。
3、鶏ササミを2の上に並べたら、細切りしたチーズを乗せ、アルミホイルを被せます。
4、230度に温めたオーブンに入れ、10分焼きます。
5、途中でアルミホイルを外し、さらに5~7分焼いて完成です。
よい匂いと香ばしさが、焼きあがりのサインです。オーブンから皿を取り出すときは、やけどをしないよう、専用のグローブを使ってください。
(翻訳編集・鳥飼聡)
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