妻に先立たれ、ダウン症を患う6歳の女の子のシングルファーザーとなったアメリカのカントリー歌手、ローリー・フィークさん(55)。ローリーさんが書き綴る力強く感動的なブログが話題となり、多くの人の心を捉えています。
ローリーさんと妻で歌手のジョーイさんは当時結婚生活14年を迎え、「ジョーイ&ローリー」というカントリーミュージック・デュオを組んで活躍していました。
2人は現在6歳になる女の子、インディアナちゃんを授かりました。「インディ」という愛称で呼ばれるこの女の子は、先天的遺伝子疾患であるダウン症候群(ダウン症)をもって生まれてきました。
そしてインディアナちゃん誕生からわずか2年後の2016年3月4日、ジョーイさんが子宮頸癌のためこの世を去りました。まだ40歳という若さでした。
ジョーイさんが亡くなった2016年の夏、ローリーさんはテネシー州にある100エーカー(約40ヘクタール)の牧場で、まだ幼いインディアナちゃんの世話をしながら、自身が撮影したドキュメンタリー映画『To Joey, With Love(原題)』の編集作業に明け暮れました。これは、ジョーイさんとの最後の2年間を記録したドキュメンタリー映画です。
そしてローリーさんは自身のブログサイト「This Life I Live(私が生きるこの人生)」に「Crib Notes(ベビーベッドが教えてくれること)」というタイトルのブログを投稿しました。
このブログはこのように始まっています。
「私がこのブログを書く間、インディアナはまだベビーベッドの中にいる。そろそろ目を覚まして、彼女の1日を始めようとしているところだ」
「ベッドから起きてあたりを見回して、また寝っ転がる。独り言を言って、自分の手にも話しかける。そんな彼女を見たり声を聞いたりしていると、神は本当に素晴らしい贈り物を授けてくれたと思わずにはいられないんだ」
そしてローリーさんは、インディアナちゃんがダウン症であることによってどんなことが起こりうるのか、当初はよく分かっていなかったと続けています。周囲から好意的とは言えない反応を得るまでは。
「お辛いでしょうね」という反応が大多数だったという。
「この反応を拒絶したわけでも拒絶しているわけでもない。もし同じ立場だったら、同じことを言っただろう」
「それが社会的通念だし、みんなそう教えられてきた。でも、それは間違ってる。少なくとも私はそう思うし、きっとジョーイも同じだ」
「インディアナは他の子供より劣っているわけじゃないし、違っていることは劣っていることではないんだ。ダウン症だからと言って、彼女の人生が他の人の人生より無意味だってわけでもないし、彼女の夢や感情が重要じゃないってわけでもないんだ」
しかし、ダウン症に対するレッテルは根深いものがあります。ローリーさんたちが見つけたある統計結果がそれを物語っていました。お腹の子供がダウン症だと診断された妊婦の70〜90%が、中絶を選択していたのです。
それでもローリーさんは、妻の人生最後の2年間に愛する娘が存在しないなんて想像すらできないと続けます。インディアナちゃんはジョーイさんに「愛情と幸せ」をもたらしたかけがえのない存在だったのです。
「神はわかってたんだ。だから、インディアナを授けてくれたんだ」
ローリーさんには3人の娘がいます。すでに成人しているハイディさんとホーピーさん、そして6歳のインディアナちゃんです。ローリーさんは愛に包まれ、時にはケンカし、笑いに満ちた人生をブログに綴り続けています。
ローリーさんのブログの自己紹介欄には、このように記されています。
「インディはダウン症候群。それに、ホーピーはアップ症候群(いつもハッピーだから)だし、ハイディは花と音楽症候群(花を栽培するシンガーソングライターだからね)だ」
「私の娘はみんな、神からの完璧な贈り物なんだ」
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