あるニューヨークの牧師は、人工呼吸器をつけて54日間を過ごし、治療のため、6週間以上も人工的に昏睡状態になっていました。彼は新型コロナウイルスに感染し、合計100日間、コロナと戦った後、無事回復しました。彼の主治医は、牧師の奇跡的な回復を信じていました。
4月中旬頃、インド系移民のベンジャミン・トーマス牧師は、約23キロほど体重が落ち、肺不全に苦しんでいました。マウントサイナイ病院の牧師の主治医をしていた心臓外科医のロビン・バーギーズ博士は、以前よりも増して信仰が深くなりました。
「私は本当に神に、もうこれ以上私ができることはないと言いました。トーマス牧師の病状はとても悪く、もう彼は助からないだろうと皆が思っていました」と心臓血管クリティカルケアの責任者であるバーギーズ医師は話してくれました。
トーマス牧師は、3 月末にロングアイランドの病院からマウントサイナイ病院の ICUに転院してきたのです。症状が悪化し始めたからでした。そこで彼の家族は、バーギーズ医師に助けを求めました。
「トーマスさんを輸送することは、賭けでした。酸素をずっと吸引していないといけない状態でしたし。でも見事転院することができました」とバーギーズ医師は、話してくれました。
しかし、ICUチームの努力に反し、なかなかトーマス牧師の病状はよくなりませんでした。
4月19日の夜、バーギーズ医師は、トーマス牧師の回復の見込みがないと半ば諦めていました。その日、当直していたバーギーズ医師と彼の医療チームは、神にお祈りをしました。すると、それが功を奏してトーマス牧師の病状は回復に向かいました。
その夜、バーギーズ医師がトーマス牧師の症例を調べていると、いくつか治療法が頭に浮かんできて、それを実行に移すことにしました。その夜以降、トーマス牧師の症状は確実によくなっていきました。ただ彼の肺はコロナウイルスが原因でボロボロになっていたため、回復はとてもゆっくりでした。
5月の半ばには、トーマス牧師の世話をしていた他の医療スタッフも、彼の病状の回復の兆しを感じていました。
トーマス牧師は、最初は自分が昏睡状態にあったという自覚がありませんでしたが、目を覚まし、ゆっくりと確実に体調が回復してました。
マウントサイナイ病院付の牧師であるロッキー・ウォーカー氏は、トーマス牧師の劇的な回復について「何が起こったのかを理解し、他の人たちにも何が起こったのかを説明することはできませんが、ここで何かが起こったのかは分かっていますし、その出来事にとても感謝しています」と述べました。
「100日間、コロナと戦って勝ったという人は珍しいと思います。やはり神への祈りがあったからだと思います」とトーマス牧師は話してくれました。
トーマス牧師はまた、病院で治療している間、ずっと支えてくれた妻にも感謝しているのだそうです。
トーマス牧師は退院後、自宅療養をしていましたが、最近では毎日、少しずつ良くなっているそうです。
「とても大変でした。コロナウイルスはとても恐ろしいものです。マスクをしない人もいるし、ソーシャルディスタンスを守らない人もいますが、そういう人たちにも、もう一度ウイルスについて真剣に考えてほしいと思っています」とトーマス牧師は話してくれました。
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