人生の大半を飼育員として過ごした末期ガンの男性には、最後に1つだけ叶えたい願いがあった。彼が世話してきたキリンたちにもう一度だけ会いたかったのだ。動物たちは彼らなりの方法でこの男性にお別れを告げてくれた。
オランダの慈善団体The Ambulance Wish Foundation は、寝たきりの末期患者のために移動手段を手配することで、彼らの最後の願いを叶える活動をしている。同団体の活動のほとんどがボランティアによって運営されている。ウェブサイトよれば、彼らが叶えてくれる夢には、「移動手段のない最愛の相手との再会や特別な思い出のつまった場所への訪問」などがある。
当時54歳だったマリオさんは、末期ガンを患っていた。ロッテルダムにあるブライドープ動物園で整備員として働いていた彼は、25年以上にわたって主にキリンの囲いを手入れしてきた。そここそが彼がボランティアに連れて行ってほしいとお願いした場所だった。
彼が動物園に到着すると信じられないことが起こった。マリオさんが囲い近くに運ばれてから数分で、2頭のキリンが彼に近づいてきた。まるで彼らは運ばれてきた男性を知っているかのようなそぶりだった。そしてマリオさんにさようならを告げるかのように、彼にキスをし始めたのだ。
投稿されたビデオには、キリンが頭を下げて寝たきりの男性に寄り添う瞬間の心温まる映像が記録されていた。キリンは彼に近づき鼻を擦り寄せてクンクンと匂いを嗅ぐと、彼の額にキスをした。
2007年に同団体を設立したキース・フェルドボアーさんは「とても特別な瞬間だった」と振り返った。マリオさんは精神障害も患っておりあまり話をすることができない。「けれど、彼の表情は多くを物語っていました」とフェルドボアーさんは語った。
彼はまた取材に対して、何よりも驚いたのはキリンたちが何年も自分たちを世話してくれた男性を認識しているように見えたこと、そしてその男性の異変に気がついていたことだと語った。
訪問中、マリオさんは20年以上勤めた動物園で同僚たちとも再会し、お別れの挨拶を交わした。
この感動的な瞬間の写真はSNSで拡散され、世界中で800回を超えるシェアを獲得した。
動物たちにお別れを告げることはマリオさんの最後の願いだった。彼の行動は私たちに本当に大切なことを教えてくれた。それは人生をともに過ごしてきた友達との絆である。
(大紀元日本ウェブ編集部)
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