20年間毎年必ず 1万3千キロ離れたパートナーのところに戻るコウノトリ

自宅の庭や屋根にいる鳥などでも、自然界の生き物を近くでよく観察してみると、人間が想像するよりも遥かに素晴らしい生態を持っていることがわかります。

クロアチアの小さな村スラヴォンスキに住むスティエパン・ヴォキッチは25年程前、ハンターに撃たれて飛べなくなったコウノトリを発見。彼はそのメスのコウノトリをマレーナと命名し、自宅の屋上に巣を作り飼うことにしました。

それから5年後のこと。アフリカからオスのコウノトリがやってきて、マレーナの巣に住みつくようになります。ヴォキッチはオスのコウノトリをクレペタンと名付けました。マレーナはもう飛ぶことができませんでしたが、2羽のコウノトリはその後一生を共にすることとなったのです。
 

春と夏を一緒に過ごした後、クレペタンは毎年8月末には約1万3千キロ離れた温暖な南アフリカに移動します。マレーナは10日間悲しんだ後やっと、クレペタンの旅立ちを受け入れると言います。コウノトリは寒い場所では生きられないため、秋と冬の間は巣の中で一緒に過ごします。

驚くことに、クレペタンはこの20年間毎年3月下旬にマレーナの巣に戻ってくるのです。飛べないために1年のほとんどを巣の中で孤独に過ごすマレーナにとって、クレペタンの存在は大きなものであるに違いありません。
 

ヴォキッチはクレペタンを自分の「息子」であり、2羽のコウノトリは彼の生きがいであると言います。彼は、いつかクレペタンが戻ってこないことにならないかと心配で、コウノトリの移動ルートに当たるレバノンなどの国での狩猟を止めるよう提唱しています。

2羽のコウノトリの壮大なラブストーリーはクロアチアではとても有名で、毎年多くの人がライブストリームを通して2羽の再会を心待ちにしています。

2羽の美しい再会をご覧あれ。

 

ヴォキッチは毎年クレペタンのために同じバケツに魚を入れて置いており、戻ってくるコウノトリがいつもそのバケツを探すので、毎年戻ってくるコウノトリは間違いなくクレペタンであるとのこと。

2羽のコウノトリは40羽以上のヒナを巣で一緒に育てました。マレーナは自分で餌を探すことができないため、ヴォキッチが手伝います。

クレペタンとマレーナがこれからも毎年再会し、ボキッチを含めた家族みんなが末永く幸せでありますように。