友達と盗んだ他人の財布。しかしその持ち主が重度の自閉症を患っていることがわかりました。
自分の愚行にいたたまれなくなった少年は自首を決意。
その勇気は称えられたのでしょうか?それとも罪は罪なのでしょうか?
ある初夏の夜、イギリス・ノッティンガム出身のコナー少年は友達と夜の街を徘徊、スリの対象を物色していました。
ある若者に狙いを定めた2人は暗い路地でこの若者を襲撃、財布と携帯電話を奪い取りました。
早速財布の中を見たコナー少年ははっとします。中にあった書類から、襲った相手が自閉症の一種であるアスペルガー症候群を患っていることがわかったのです。
病気に苦しむ人に何ていうことをしてしまったんだ・・・
コナー少年は自分の行動を激しく後悔しました。
とてつもない罪悪感に襲われた彼は自首を決意、自ら警察に赴きました。
自分の過ちを認め自首する勇気は誰にでもあるわけではありません。
でも重い罪を犯したことにも変わりはありませんでした。
コナー少年は裁判にかけられることになります。
裁判官はまず、被害者の心境を代弁しました。
「相手がアスペルガー症候群であることを知らなかったとは言え、人数的に見ても相手の立場が弱いことは簡単にわかりますよね。被害者は困難に満ちた人生を送っているんです。この事件は今まで以上に彼を苦しめているんですよ。」
そして、コナー少年に対する理解も示しました。
「これは本来のあなたではないはずです。このような罪を犯し裁判にかけられていることが本当に残念でなりません。」
そして遂に判決の時が。
「自首を決断したあなたの勇気も、襲撃され財布を盗まれた被害者の苦しみも、両方考えなくてはなりません。しかし法律は法律。罪を犯した人間には罪を償ってもらいます。」
コナー少年は懲役2年を言い渡されました。
厳しい判決のように感じますが、襲った相手が健常者だったとしてもコナー青年は同じように罪悪感を感じていたでしょうか?
社会にはルールがあり、罪に対する罰はきちんと受けなければならない、という裁判官からの厳しいメッセージ。
良心を失わず自首を決断したコナー少年ならこのメッセージを真っすぐに受け取り、きっと立派に更生してくれる、という希望がそこに含まれていたのではないでしょうか。
決断は時期を逃すとその大きな意味を失ってしまいます。
しかし決断を下す良心と勇気があれば、未来はきっと開けていくと思います。
(日本大紀元ウェブ編集部)
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