ブラジル人のアレクサンドロ・ホセ・ド・シルバさん(79)が妻と共に出席した娘の卒業式。足の不自由なシルバさんが手を使って歩くと、会場からは熱狂的な声援が沸き起こりました。
15歳の時から足が不自由になり、脊柱に障害が出た後、歩けなくなったというシルバさん。ブラジルのピアヌイ州立大学で行われた卒業式には、両手に木片を握り、娘のロザニーさんとステージまで歩きました。普段から両手で歩いているシルバさんにとって、人々の声援は驚きだったようです。
彼はデイリー・メールのインタビューの中で、「ずっと娘の幸せを願ってきましたが、まさに夢がかないました。娘は私たちが期待した以上のことを成し遂げたのです」と喜びを語りました。シルバさんによると、11人の子供のうち育ったのは3人だけで、大学を卒業したのは家族の中でロザニーさんが初めて。障害を抱え、貧しい農夫として家族を支えてきた彼の人生は、容易ではなかったはずです。
家族と5年間離れ、法律科の修士課程を終えたロザニーさんを精神的に支えたのは、父親の生きざまでした。「父は、一度たりとも不満を漏らしたことがありません。彼はいつもポジティブで、私を元気づけてくれる存在です。父はいつも陽気で、無欲で、自分のことを無能だとか、無力だとか思ったことはありません」。ロザニーさんにとって、シルバさんはたくさんのことを乗り越えてきたヒーローなのです。
今のロザニーさんの夢は、父親に電動の車イスを買ってあげること。これから一生懸命働いて、両親の生活を楽にしてあげたいと語っています。
(文・郭丹丹)
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