2月、暦の上では春。寒さも和らぎ、小鳥たちのさえずりが聞こえるようになった。青々とした空のもと、屋外での活動に適した季節だ。都内の公園で、ゆったりとした気功を実践する人々がいる。気功というと、高齢者向けの健康法と思われるかもしれない。しかし、最近は、20~30代の働き盛りの男女にも、「ストレスフリーになる」「悩みごとを軽減できる」として、注目が集まっている。
理不尽さは理不尽じゃないことが分かる
福岡に住む34歳の岡崎啓二さん(仮名)は、ITソフトウェア開発企業に勤めている。長い残業や、理不尽な上司の叱責にストレスを感じていた。また顧客へ誠意ある仕事をしているかどうか悩んだり、会社の方針にも義憤を感じることもあったという。
日ごとにストレスが鬱積するなか、ためしに、気功レッスンに参加した。レッスンでは心と体の繋がりや、平常心の大切さを学んだ。「理不尽と思われていたことは、自分を改めていくチャンスだとわかり、理不尽でないことだとわかった」と岡崎さんはいう。
気功を通じて、心が軽くなり、怒りは無意味であることを知り、誰が正しい、悪いかを短絡的に判断せず、心持ちを穏やかにさせることで、トゲトゲしかった会社での態度は変わった。
「気功をはじめて、身も心も軽くなった。(心身健康であってほしくて)両親へもすぐに気功の良さを伝えた」と岡崎さんはいう。
失恋の苦しみから解き放された
都内在住の26歳の三好有希(仮名)さんが、気功をはじめるきっかけとなったのは、失恋だった。「結婚を決めていた彼と別れ、茫然自失。将来の展望が崩れたような、喪失感でした」。
ある春の日、公園で、爽やかな雰囲気で気功している人々に、声を掛けた。レッスンを教えられると、「心の中のドロドロとした重たいものが、溶けていったような」清涼感を得られたという。
ネットで気功の教書を読むと、引きずっていた情念や、突き刺さるように残っていた失恋の痛みは、「生きることをシンプルにさせないようにしている、ゴチャゴチャしたもの、いらないものだ」と理解することができた。
「これまで自分は悩む必要のないことに悩んでいたことに気づいた。おかげで、笑顔になれることが増えた」と、気持ちの変化を述べた。
気功の動作には、座禅と同じく座った姿勢で行なうものと立った姿勢で行なうものがある。科学の見地からも、座禅は心身ストレス耐性向上に効果があるとの研究報告がある。ハーバード大学サラ・ラザール心理学教授によると、継続的な座禅により、精神力と思考能力が鍛えられ、ストレスに負けない健康な体をつくることができるという。
2014年の内閣府の調査で、日本の29歳までの若者は、こころの健康や自己肯定度が他6カ国(韓国、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン)と比べて、最も低いことが分かっている。前出の岡崎さんと三好さんの2人は、ストレス社会での心身修養は効果的だとして、気功を学び始めた。
2人が学んでいるのは、長い歴史を持つ気功・法輪大法。欧州や米国、アジア各国にも学習者がいて、それぞれの地で体験・参加可。日本各地の問い合わせ場所は、公式ホームページの「各地の連絡先」参照。ja.falundafa.org/falun-dafa-japanese-contacts.html
(文・佐渡 道世)
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