【大紀元日本1月11日】
「東洋大、大会新で圧巻の総合優勝!~箱根駅伝~」(Sports Communications、2012.1.3)
新春恒例の箱根駅伝で、東洋大が往路・復路ともに制して総合優勝を果たした。前回大会で早稲田大が樹立した記録を約8分も上回る10時間51分36秒という驚異的な速さで、2位以下をまったく寄せ付けない「圧巻」の総合優勝であったという。
「圧巻」の「圧」とは上から押えることで、「巻」とは答案用紙のこと。昔、中国の官吏登用試験・科挙において、審査官がもっとも優れた答案を重石のように一番上に置いたことから、書物の中で一番優れた詩文を「圧巻」と呼ぶようになった。それが後に、書物に限らず催し物や作品の中でもっとも優れた部分を指すようになったと言われる。次のような使い方が規範的と言えよう。
「あらゆる天変地異が世界各地に次々と襲い掛かり、もはや地球上に逃げ場はない。なかでも大都市ロサンゼルスが、あっという間に崩れ落ちるシーンは圧巻!」(映画「2012」の解説)
ところが、近年、全体の中でもっとも優れた部分というわけでもなく、ただ単に「壮観」「圧倒的」という意味で使われることが多くなり、頑固な方々からしばしば誤用だと指摘される。「102階からの眺めたるや、圧巻!」「マー君圧巻!毎回の18Kで完封勝利!」など。
この点では、冒頭の「圧巻の総合優勝」も誤用となるのであろうが、ことばは生き物であり、時代とともに移りゆく。このような用法がメディアやネット上に溢れるにつれ、次第に許容され、ついには正しい用法となる。「食べれる」「見れる」のような「ら抜き言葉」が急速に市民権を持ちつつあるのと同様に。
(瀬戸)
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