【生活に活きる植物】 44・紫蘇(シソ)

【大紀元日本10月7日】シソは中国原産で、縄文時代にはすでに日本に自生していたシソ科一年草。薬用、香味用食品として各地で栽培されてきました。茎は四角で、秋に紫色または白色の小花が穂状に咲きます。紫色の葉がアカジソで、7月ごろ採取した葉を半日ほど日干しし、その後陰干ししたものを紫蘇葉(しそよう)、10月ごろ採取した種子を陰干ししたものを紫蘇子(しそし)、茎だけ天日干ししたものを紫蘇梗(しそこう)といいます。葉が緑色のアオジソ(大葉)は主に食用にします。どちらにも植物全体に高い香りがあり、精油は出穂期までが多く含まれています。

アカジソ

学名:Perilla frutescens

別名:野良荏(のらえ)

成分:シトラール、精油(ペリルアルデヒド)、カロチン、ビタミン、ミネラル、種子にシソ油(α‐リノレン酸)など

【薬用効果】薬草としてより有効なのはアカジソです。紫蘇葉は肺、脾に働き、発汗作用があり、解熱、鎮咳、健胃、利尿に有効です。一日量は乾燥物6~12グラム、魚蟹中毒には30~60グラムを煎服します。ただし、長時間煎じてはいけません。紫蘇子は肺に働き、鎮咳、便秘に有効です。一日量は乾燥物6~9グラムを煎服します。また、紫蘇梗も含めてすべては理気作用(気の流れを整える作用)があります。

浴湯料に使用すれば神経痛、腰痛、精神安定に効果があり、整腸、解毒用には薬用酒として常備します。

【食用】アカジソは梅干しなどの色づけに、ジュースに、また乾燥して香辛料に利用されます。穂ジソやアオジソの葉には抗菌作用があり刺身のツマや風味付けにと様々に利用されています。野菜としてはアオジソの方が豊富な栄養素を有しています。

【余談】古代からカニやエビなどを食べて蕁麻疹(じんましん)が出た際に、生の紫蘇葉を大量に食べるか、煎じて飲むと症状が軽減したという話が各地に伝わっています。カニの食べすぎで食中毒を起こした若者が、紫色の煎じ薬で死の淵から蘇ったという故事から、紫蘇という名前が付いたそうです。シソの紫色は日光に対する堅牢性が弱く、染色には向きません。

 (文と写真・ハナビシソウ)