【生活に活きる植物】 39・河原撫子(カワラナデシコ)

【大紀元日本7月29日】カワラナデシコは欧州、中国から日本にかけての山野、河原などの草地に自生するナデシコ科多年草。花は6~9月に咲き、秋の七草の一つで、観賞用に栽培も盛んです。花は5弁の淡紅色で各片の先は細裂し、葉は線状披針状、秋に扁平で円形の多数の種が出来ます。熟した黒い種を日かげで乾燥したものが薬用の瞿麦子(くばくし)です。中国原産の花はセキチクといわれ、全草を乾燥したものが瞿麦(くばく)という生薬です。両者は同様の薬用効果があり、同様に利用されています。

【学名】Dianthus superbus
【別名】とこなつ、ひぐらしぐさ、なでしこ
【成分】サポニン

【薬用効果】瞿麦は心、小腸に働き、利尿や通淋、通経作用を有し、排尿痛、血尿、無月経に有効です。一日量は乾燥物9~30gを煎服、また適量を腫れと痛みを除くために外用します。瞿麦子も同じ効果があり、一日量は乾燥した種子8~15gを煎服します。

【食用】若苗をゆでてアク抜きし、油いため、あえもの、煮物に利用します。

【余談】ナデシコは秋の七草である萩、薄、桔梗、撫子、葛、藤袴、女郎花のうちの一つです。新潟の湿原には白い花のシラサギナデシコ、広島や岡山にはオレンジ色のオグラセンノウが咲きます。中国原産のセキチクは小型で、唐ナデシコと呼ばれ、これと区別して日本で自生するカワラナデシコは大和ナデシコと呼ばれるようになりました。カワラナデシコは万葉歌人にも詠まれ、可憐な花と風に揺れる繊細な茎葉から、日本女性の代名詞となりました。今も文学はじめ文化面でも重用され、茶花としては春から秋の長期にわたって活けられます。ただ、現在一番輝いているのは、「なでしこ・ジャパン」でしょうか。

オグラセンノウ

セキチク

(文/写真・ハナビシソウ)